丸山公園の一人かくれんぼ(埼玉県上尾市) | コワイハナシ47

丸山公園の一人かくれんぼ(埼玉県上尾市)

埼玉県上尾市大字平方三三二六、水と緑の調和をテーマに、昭和五三年に開園した総合公園で、小動物コーナー、児童遊園地、バーベキュー場、自然学習館、大池といった施設があり、昼間や週末は子連れの家族や、近辺に住む方々の憩いの場となっている。

近隣の小学校の生徒にとっては、写生会等で訪れた記憶がある者も多く、なじみ深い場所であり、現在も週末には大宮方面から釣りに来る人がいる等、非常に人気の高い公園である。

その反面、夜になると近隣でも屈指の心霊スポットであり、過去に少なくとも二度首つり自殺があり、その他強盗、恐喝や変質者の出没等、ネガティブな噂にも事欠かない場所である。そのせいか、駐車場は午前六時から午後八時で終了となり、夜間は入れない事はないが、車で来てたむろ等がし辛いような処置がされている。

ここで怪異に遭遇したのは、私の怪談動画企画の収録で訪れた、スタッフのT君とレポーターをやってくれたNさんである。

二○一○年一一月。心霊公園で一人かくれんぼをしてみよう、という企画で、T君とNさんがロケ車で丸山公園に着いたのは午後六時。近くのコインパーキングに駐車し、撮影機材と荷物を持って、目的地である林を目指して歩き出した。

首つりがあった木がある林が残っており、まずはそこに向かおうという事になったのである。機材を設置し、カメラが回り始める。

「はい、今日私は、自殺があったという公園に来ています。ここでは不幸にも、過去に首つり自殺があったという事で、今後ろに見えている真っ暗な闇が、実は首つりがあったという林なんです。今夜はここで……」

Nさんが言うには、動画の入口となる企画説明をしている最中から、T君が怪訝な顔をしていたという。そのうち、T君が撮影を止めた。

「御免なさい、何か変な音が入ってる……何だこれ……」

「どんな音ですか? 私呼んじゃいましたかね?」

Nさんは結構引きが強く、今までの収録でも、彼女が参加した際には高確率で怪現象が起きていた。それを見込んでの起用という意味もあったのだが、困ったのはT君だ。

彼はある程度の尺、使える映像を撮ってこなくてはならない。今回は、最悪何も起きなくても、一人かくれんぼを一部始終撮影すれば、それなりの時間撮れると踏んでやって来たのだが、説明部分で怪異は要らないのだ。

そうは言っても、こちらの希望通り起きる怪異は無いのだが、出だしからNさんの解説におかしな音が乗って、使えないと判断したのだという。

「何か、歩くような音なんだけど、誰も歩いてないんだよね」

仕方なし、本当の事を話した。Nさんは、また自分のせいで怪異が起こったのかと心配顔だ。T君は辺りを見回すが、今は音は消えている。夜間のウォーキングをする人や、犬の散歩をする人も見当たらない。

「すいません、もう一回行きましょう……はい! どうぞ」

こうして、最初から波乱含みで収録は始まった。解説を撮り終わり、近くの東屋に移動した。雨がぱらついてきたという事もあったが、一人かくれんぼを撮影するには色々と準備がいる。

T君は私と地元が同じなので、この公園は良く知っている。当然、何故収録現場に私がここを選んだかもよく分かっている。それだけに、怖かったに違いない。地元の人間にとっては、ここは心霊スポットではなく、事故現場だからだ。リアルに人が死んでいるし、事件も起こっている。

Nさんは、一人かくれんぼの準備を始めた。彼女は話として色々聞いてはいるが、目の前にロープがある訳でもなし、怯えていても収録は進まない。

人形や米、塩、カッター等を用意し、ルール確認をする。今回の企画は更に過酷で、一人かくれんぼと、こっくりさんを合わせた儀式を行ってみようという企画だった。

題して「一人こくれんぼ」。

一人かくれんぼの準備は、手足があるぬいぐるみ、米、爪切り、縫い針と糸、カッターナイフ等の刃物、塩水(出来れば粗塩使用)。

ぬいぐるみに名前を付け、中の詰め物を全部出し、米と自分の爪を切って入れる。その後、糸と針で縫い合わせ、糸が余ったらぬいぐるみに巻き付け結ぶ。米は内臓、糸は血管を表す。隠し場所を決めておき、そこには予め塩水を用意しておく。以下の手順は……。

一、午前二時になったら、ぬいぐるみに対して「最初の鬼は○○(自分の名前)だからと三回言い、浴室(この日は水道のある水場で代用)に行き、水を張った風呂桶にぬいぐるみを入れる(この日はバケツで代用)。

二、照明を全部落とし、テレビだけつける(この日は携帯テレビで代用し、砂嵐の画面を出したままにする)。そのまま目を瞑り、一〇秒数える。

三、刃物を持って風呂場(水場)に行き「××(ぬいぐるみの名前)見つけた」と言って刺す。

四、「次は××が鬼だから」と言い、自分は塩水のある隠れ場所に隠れる。

五、そのまましばらく待っていると怪異が起こるという。

六、終了するには、塩水を口に含み、ぬいぐるみを探して、コップの残りの塩水、口に含んだ水の順番にぬいぐるみにかけ、「私の勝ち」と三回宣言して終了となる。

七、この工程を二時間以内に終了させる。ぬいぐるみは燃やして処理する。

以上が代表的な実行手順だが、私達は五番の手順で待っている間に、Nさん、T君の二人でこっくりさんをやってもらうというアレンジをした。

降霊術を二つかけ合わせたらどうなるかという実験であり、バラエティ的な発想なのだが、現場では相当異様な空気になったそうだ。

二番の手順時に、砂嵐を出していると、どこからかギャアギャアという子供が騒ぐ声が聞こえ、Nさんも不思議に思っていると、鹿威しのようなひときわ大きく高い、

「コオ〜〜〜〜〜オンッ……」

という音が響いた。当然夜間の公園にそんな物はないし、その日は小雨がばらついていたので、他に人もおらず、他人が立てた音という可能性も低かった。

この音は動画にもはっきり入っており、場にそぐわない音だったので、動画を見た方から指摘が相次いだ。

三番の手順に移る為、Nさんは水場に行き、バケツからぬいぐるみを取り出した。カッターでぬいぐるみを刺そうとすると、すぐ後ろの暗闇から小走りに走る音が聞こえた。Nさんはランニングでもしている人が来たと思い、音の方に目を向けた。

T君もカメラは止めないものの、一旦撮影を止める合図をして、一寸待とうという態勢をとった。Nさんが手順を説明している声に、近くを通る足音が被ってしまうと聞き取り辛くなるからだ。

しばらく待ったが誰も来ない。NさんとT君はお互いに顔を見合わせて、無言。

この公園に来てからというもの、足音が付いて回る。一番驚いたのは、噂や話は知っていても、夜になるとまるで様子が違うという事を体験しているT君だった。

「昼間は普通の……本当に人出の多い公園なんですよ」

Nさんを落ち着かせる為にそう言うのだが、今は完全に心霊スポットという雰囲気で、自分が面食らっている。この時、T君からはリアルタイムで収録の報告が入ってきていたのだが、思いもよらない理由で撮影が進まないので、困っているという内容が何度か送られてきた。

私は、丸山公園を思い出しつつも、何れも物理的にあり得る現象だから、落ち着いて、多少音が入ってもいいから撮影を続行して下さい、と指示を出した。

現場では明らかに通常とは違った怪現象が起きているのだろうが、離れた事務所で別業務をしている私にはどうしようもないし、経費を使って撮影に行っているのだから、お化けが出るので収録出来ませんでした、という訳にはいかない。

行ったからには何か使える映像を撮ってこないといけないのが、我々の仕事だった。Nさんとしては、雨も降るし、残った作業は沢山あるしで困ってしまっただろうが、少しずつでも撮らない事には帰る事が出来ない。

次は隠れる手順だ。Nさんは塩水を隠しておいたベンチに移動し、T君がこっくりさんの用意を整える。

T君が十円玉を出して、予め書いておいたこっくりさん用の用紙に置く。Nさんが説明しながらベンチに腰かけ、十円玉に指を置く。

「さぁ、それでは本日のメインイベントです。何とここから待ってる間に、こっくりさんをしてしまおうという、大胆な企画になっております!」

Nさんがカメラにこっくりさんの道具一式を映して見せている。

「何を聞いてみましょうか?……そうですね、まずはおいで下さいとお願いしてみます。どうなるでしょうか……Tさんお願いします」

T君がゆっくりと文言を唱えだした。

「こっくりさん、こっくりさん、どうぞおいで下さい。おいでになられましたら、『はい』にお進み下さい」

現代では、こっくりさんの指を添えた十円玉が動くのは、不覚筋動の仕業という説が有力だ。同じ姿勢で居続けると、筋肉が疲労し、震えが来る。そこに力を集中していると、無意識に動いたように見えるという訳だ。

しかし、私は何度か十円玉だけで動くのを見た事があり、それ以来、こっくりさんには本物があり得る、と思っている。見てしまったから仕方ない、というか、信じざる得なくなってしまったのだ。

Nさん達の場合はそれ程派手に動かず、多少の移動はあったが、不覚筋動の範囲内という程度のもので、際立った動きはなかったという。

あまりにも反応が薄いので、止めようかと話し合っていた時、Nさんが最後にと思って、こう聞いた。

「あなたは女性ですか? 男性ですか?」

瞬間、凄い勢いで十円が動き「は」の周りをグリグリと動き、最後に「は」の上で止まったという。驚いたNさんとT君は、動いている間中、相手の顔を見ながら、

「おお〜っ!」

と叫んでいたという。指が離れないようにするのが大変なスピードで動いていたそうで、Nさんは半泣き顔、T君はぽかんと呆けてしまったように見つめるばかりだった。

止まった場所は「は」だったので、はい、という答えであったのだろうと思われるが、女性が来ていたのだと思うと、その動いた速度の急さも考えると、不気味な事この上ない。しばらくそのまま、お互い何とも言えぬまま、時間が過ぎた。

T君が、カメラの動作を確認すると、何とバッテリーの充電が切れており、肝心な箇所が映っていなかった。出かける前には予備含め、完全に充電して来たのだが、僅か二時間も撮らないうちに電池切れになってしまったのだという。

NさんもT君も、場に慣れて来たからか、本日最大の怪奇現象を撮り逃して、非常に悔しかった。その時にはメールが矢のように送られて来て、何れも非正規品の充電池に対する罵詈雑言が叩き付けられている。

実際には、そんな事全く心配ない結果になるのだが、この時点での彼らはそんな事は知らない。

気を取り直して、撮影を再開する。再びこっくりさんを撮り直すが、先程のような異変は起きない。そのまま時間が過ぎるが、やはり何も起きる気配が無い。

「はい、かくれんぼの待ち時間に、こっくりさんを行いました……少し動いた気配はあるんですが、目立った変化は……」

Nさんがそう言っている最中に、二人が指を置いている十円玉がズリズリと動き出す。カメラに声が入ってしまうのも厭わず、T君の驚きの声が入ってしまう。

あまりに急な出来事で、Nさんも完全に実況を忘れて、見入ってしまっている。動画で確認しても、二人とも無言で十円玉を凝視していて、説明も何も無く時間が過ぎていく。動きが止まって、しばらくしてNさんが突然気付いたように、解説を再開する。

「……えと、あの、終わろうと思ったら、急に動き始めまして……こっくりさん成功、という事でしょうか……指していた文字は……あ!?」

十円玉が動き回った文字は並べ替えると人の苗字のようになるのだが、理由があってその文字は伏せる事にする。特に変わった名前では無いのだが、偶然か何か、過去にそこで亡くなった人と同じ名字であった(これは収録後に調べて分かった)。

Nさんがぬいぐるみに塩水を掛け、私の勝ちと宣言する。これにて、一人こくれんぼの全工程が終わった。色々と波乱含みで、終わってみれば撮れ高の高い撮影となったのだが、当の本人達は、へとへとに疲れてしまって、喋る元気もなかったという。

帰りの準備をして、二人で片付けをしていると、すぐ横にある池を何かが泳いで付いて来る。二人のすぐ後を追うように、バシャバシャという音が付いて来て、ライトで照らすが何もいない、という事が繰り返された。

流石に気持ち悪くなり、二人とも凄い速さで片付けを済ませ、逃げるように車に向かう。その後ろを、複数の足音がバタバタと付いて来るが、姿は見えない。

どれだけその場が緊迫していたかというと、T君はその帰りのシーンを何故かカメラ撮影しており、動画で残っているのだ。企画的にはもう終わっているのだが、カメラを止めるのも忘れて荷物をかっさらい、逃げ出している。動画ではNさんとT君の足元が映っていて、足元の道路には結構な雨が降っているのが見える。その二人の足音はバシャバシャというような、水溜りを歩く音なのだが、その他に低く「ザッザッザッ」という音が響いていて、それが増えていく。

次第に二人の会話は「ヤバい」「早く」という単語ばかりになり、最後は駆けだしてしまった。ロケ車まで辿り着くと、とにかくエンジンを掛け、公園から離れる。その間もカメラは録画を続けており、助手席に放り出されていた。

しばらく走ると、Nさんがまとめを撮ってない事に気付き、T君がどこか別の場所で撮りましょう、と返している。安心したのか、二人とも寒い寒いと言い出し、最寄りのコンビニで一旦休みましょうという話になった。

その後、コンビニを見つけ、駐車場に車を入れた時には雨は相当激しく降っており、傘を差して買い物に出ている。戻ると、車内でコーヒー等を飲みながら休憩し、そろそろまとめを撮りましょうか? という段になって、T君がカメラが撮りっぱなしになっているのに気付く。

「あれ? カメラ回ったままだ……残り、一時間あるんでまとめは撮れますね。そろそろ行きましょうか? Nさん大丈夫?」

「え〜はい、了解です。それにしても色々あったんで、どうまとめたらいいかな……迷いますね……でも、ん、大丈夫です、いきましょう」

Nさんがまとめを車内で話し始め、T君が運転席からカメラを構える。

一通り本日起こった事と、企画の説明をして、動画は終わる。後日、T君からデータをもらった私は、早速編集作業に入った。

確かに公園のシーンは色々な音が入っていた。中には、公園の池で飼われている鯉の立てる水音、アヒルやカモの鳴き声等が混ざっているので、それらに関しては、初めからテロップで怪現象では無いと忠告を入れる。

しかし、例の鹿威しのような音は何が原因かはっきりしないし、歩くような音はそこかしこに入っていたが、幾ら画面の明るさを調整しても、二人の他に人は見受けられない。

一番重要な、首つりがあった木のある林の前での映像には特に異変は無かった。ただ、雨が降り始める所だからなのか、風がザアザアと吹いており、林全体が左右に大きく、ゆっくりと揃って揺れている様は、生き物のようで不気味な姿であった。

絵的には特に何も無かったが、Nさんの声に被って、細い高い、笛の音のような音が入る。画面的にはただの林なので、そういった音がしそうな物は無いのだが、近くに音の出る時計塔等の設備があった可能性もある(広い公園の為、放送用のスピーカーは各所にある)。夜間にそんな放送をする必要があるかは一旦置いておいて、物理的に音が鳴る可能性があるのであれば、可能性は考慮しないといけないだろう。

一人こくれんぼのシーンにしても、一番最後に十円玉が動いたのを除けば、音がメインなので画面外を黒い服を着た人が、照明の範囲外を移動していたと考えられなくも無い。実際、近所の人で夜間ウォーキングや犬の散歩に使用する人はいる。ただ、雨が結構降り始めているので、傘もライトも持たずに歩いているものか? という疑問はあるが、これも物理的に可能なので、一概に心霊現象でしたとは言えない。

動画の編集でメインとなるのは、やはり検証した上で、これは理由が分からないという物であり、容易く他の理由が考えられる現象は切り捨てて行かないと、何でも心霊現象だと騒ぐ事になる。そうした盲目的な姿勢はなるべく避け、冷静に検証する癖をつけないと、逆に本物が見抜けなくなると思っているので、撮ったデータは編集と同時に、なるべく確認作業をしつこく行う事にしている。

全体の動画を一通り見終わり、休憩動画の部分になった。編集ソフトでは動画が流れ続けていたが、私は公園内の動画で気になった箇所をメモしたノートと睨めっこし、どこを山場にしようかと思案していた。

「何か温かい物を胃に入れましょう。食事はまた別の所でするとして……」

「そうですね、うわ〜寒い。あ〜結構降って来てますね!」

もう撮影は終わっているので、会話は続いているが、何でもない内容であり、イヤホンで聞いてはいるものの、聞き流していたのだが……。

「あ、こっち狭いな……ギリギリだ。まぁ、いいや……」

T君が駐車した場所は、一番右端で、ブロックの塀がある所だった。運転席と塀の間が狭く、扉を半分も開けられない状態で、無理やり外に出たらしい。

助手席のカメラは左に傾いたまま、今はダッシュボードの上に置かれ、運転席を左横から、ドアの方を向いて映していた。二人がコンビニに行って、車内は無人になり、映っているのは無人の運転席と、そのドアの外の雨位のものだ。時折、ドアの外の暗闇を光が走っていくので、塀の向こうが道路だと分かる。

T君のロケ車は八人乗りと大きいので、普通の駐車場でも小さく感じる。そのコンビニの最端の駐車スペースは塀に寄っているので、彼の車だと扉が開け辛いのだろう。

T君の声で目だけ画面に向けてみると、先程の無人運転席が映っている。

何気なくそのまま見ていて、不思議な事に気付いた。

窓の外である。雨がバシバシ降り付け、流れ落ちていくその外に、いつの間にか女が立っている。やや俯き加減で、真っすぐ立って前を向いている。カメラには横向きに映っているのだが、俯いていて、長髪の為髪が顔に被っている。窓ガラスの上端で顔が見切れており、ガラスから見えるのは鼻から下で、目や鼻は確認出来ない。口と顎が辛うじて見える程度だ。こげ茶のような服で、微動だにしない。

一、まず、この激しい雨に傘を差していない。

二、傘を差していないにもかかわらず、一切髪や衣服が濡れていない。

三、その女性を突き抜けるように、雨がガラス窓に吹き付けている。

四、T君が横になって漸く出られる幅に、何故普通に立っているのか。

五、いつ来たのか、また、何故他人の車の運転席横に立っているのか。

瞬時にそういった疑問が頭に浮かび、無理やり理由づけしていったが、どうしても三は理解出来ない。いつしかその部分だけを繰り返し見ていると、新たな疑問が湧いてくる。

T君の車は車高も結構あり、一七〇センチの私やT君では、窓ガラスより鼻や目が上に行く事は無い。つまり、その女性のような見切れ方をするには、身長が少なくとも一八五センチ以上でないと難しい。現実には背の高い女性もいるだろうが、この撮影時にピンポイントで車横にそんな女性がいたとしたら、相当目立つ筈だ。

一体何だろう。時間にして一分半程度。すっと現れ、すっと消えていく。

その後、平和な顔でT君が戻って来て、運転席に乗り込む。その時には影も形も無く、T君も誰かに気付く素振りも無い。少しお茶等飲んで休憩している間も、窓越しには誰も居ない。その後撮りっぱなしに気付いたT君が一旦止め、車内後方にカメラを向けて、Nさんのまとめを撮り始めた時には、車の後方の窓外も映るが、横は塀が間近に迫り、後方は金網の柵がびっしりと張ってあり、余裕があるという訳では無いし、金網の向こうは人家で、人の通行は無い。

やはり誰かが間違えて入り込む場所では無いし、雨宿りでもない、

何より、徐々にふわ〜っと消えてしまうので、生きている人間では無いだろう。残念なのは、完全に消える瞬間が、外の道路を通る車のライトに飲まれ、まるでビデオの編集でエフェクトをかけて演出したようになってしまっているので、今一ナチュラルな感じがせず、この部分は公開を見合わせた事。静止画で切り出し、動画内では使用したが、やはり色々と議論になり、様々な意見が送られて来た。

NさんとTくんにも追加でインタビュー動画を撮らせてもらったが、やはり公園から誰か付いて来たとしか思えない、そう二人揃って口にした。

T君が詳しく説明してくれたのだが、この公園では、会社員の男性、若い女性が首つりをしており、そのうちの女性が付いて来たのではないかと推測していた。Nさんが居たので、女性同士で死を選択した苦悩を分かって欲しかったのかもしれないと。

Nさんは、こっくりさんを間に入れた事で、現地で自殺し彷徨っていた人を呼び出したのではないか、それ故、しつこく公園外にまで付いて来たんではないか? と考えており、あの場では言えなかったが、可哀想に思ったと素直に感想を述べた。

私は、その場に居なかったので、その時の空気感も分からないので、動画という事実として残った記録から言うのであれば、こくれんぼ部分の怪異と、駐車場の女との関連性については何も言えないが、一つ気付いたのは、あの女の俯いている格好だった。

やたらと真下を向いた俯き方、髪に隠れて見えなかったが、あれは首をつった姿勢のまま、現れたのではないか?

あの妙に高い位置に映っていたのは、足が地に着いていなかったのではないか?

それを伝えると、NさんもT君も青ざめた。あの場に居た者にとっては気付きたくない事実だったかもしれない。しかし、編集であの部分をじっくり見続けた結果、導き出された結論はそれしかなかった。

現在は、管理も厳しくなり、事件があったという話も聞かなくなった。有名になった時期から、夜間に人が近付かないというのもあるかもしれないが、いまだ現役の公園だ。

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