日曜の夜の6人部屋(熊本県合志市) | コワイハナシ47

日曜の夜の6人部屋(熊本県合志市)

その病棟は広大な敷地にある。しかし日曜の夜の集団病棟は寂しい。

6人部屋の病室には永井さんが1人だった。日曜は退院する人が多く、入院は大抵月曜朝からなので、1人になってしまうのだ。

消灯時間になって、どうも変な空気感が漂う。目をつぶって布団にもぐるが、寒気がして目が覚める。ひどい耳鳴りがして、どうも病室に何か潜んでいる気配がした。窓も開いてないのにカーテンがゆらめく。

永井さんが恐々と目を凝らし、病室を見渡す。

すると、病室のベッドの間に薄い桃色の着物を着た女性が立っていた。

その着物の女性は若く、娘さんのようだった。うつむいてただ立っている。

明らかに人間ではなかった。

「……何妙法蓮……南無阿弥陀仏……」

体は金縛りに遭って全く動かせない。だが口だけは動き、思いつくお経を唱えまくった。その後は気を失ったように眠ってしまった。

後でナースコールをして、事情を話した。看護師は「またか」という顔つきになった。この病院は昔、結核の療養所でもあったという。若くして亡くなった娘さんの霊だったのかもしれないと語ってくれた。

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