本当に出るお化け屋敷(熊本県荒尾市) | コワイハナシ47

本当に出るお化け屋敷(熊本県荒尾市)

荒尾市にある某遊園地にはおかしな噂が多かった。

夏になると学生のバイトがやってくる。お化け屋敷のお化けバイトも彼らに任せていた。

だが1か月もたたずに辞めていくという。

もう随分昔になるが大学生の頃、飯田さんはバイトの面接でその遊園地に行った。霊感は強くない方だった。

中でお化け役の人と立ってみた。お客さんが入ってきたら、暗闇で肩を掴んだりして脅かす。

「キャー!」

女の子たちは反応がいい。困るのは子供や男性。怒って蹴りを入れたり、めくらめっぽう腕を振り回したり。重労働だ。

ところが途中からある場所でお客さんが悲鳴を上げる。奥まった真っ暗な場所では何がいるのか見当つかない。

飯田さんは皆が見ては逃げる場所にどんな霊がいるか見たくなった。上手い先輩がいるんだろうな、と。

通り道の角に机があり、そこから両足が見えた。男性の裸足だった。そこから上を見ようとしたら思い切り肩を掴まれた。

「うわ!」

「どこ行きよるとや、客に見つかるだろが」

一緒にいたお化けの恰好の先輩に強く叱られ、仕方なく戻った。だがあの足はずっとあった。あまりに動かないのでマネキンかもしれないと思って、その日は終わった。

しかし、たった1時間くらいだったのに、空調が悪いのかひどく暑くて息苦しく、変な匂いがする場所だと思った。

「どうだった、やれそうね?」

事務所に戻ると、面接担当者が聞いてきた。

「あ、はい。でも隠れてたとこの先の角にずっと立ちっぱなしの裸足の人がいたのが気になりました。あれ、マネキンですよね?」

担当者は驚きもせず、またか、という顔をした。

「やっぱり見たとね。それでも続けれるね?」

と不思議な対応だった。

「見たっていうと……」

「うん、最初みんな言うとよね、裸足の足って。そんなヤツ働いとらんし、人形も置いとらんとに、あの角におったんだろ?」

「え、ええ? 角におりましたよ!」

「他は? 何か見た? 息苦しくなったりせんかった?」

「あ、ずっと暑くて、冷房効いとらんのか、重苦しいというか」

「ああ、それ初日に感じたなら、1週間持たんね。冷房は最大入れとるし。霊感ある人はこの仕事向いとらんよ」

飯田さんはその言葉で凍り付き、バイトを諦めることにした。

今もこの遊園地は廃墟を使ってのお化け屋敷など「本当に出る」と噂が高い。それがむしろこの遊園地の人気にもなっている。

この敷地には以前大きな炭鉱を持つ会社があった。炭鉱の町でもあり、近くに産業遺産となっている万田坑がある。万田坑は2015年に「明治産業遺産」の1つとして世界遺産に登録となる。だが、この近くの炭鉱では戦後最大の爆発があり、死者は458名、一酸化中毒者は839名と甚大な被害になった。

労働争議の中、エネルギーが石油に代わっていった時期、人員削減から、救護隊や酸素注入が遅れたのも原因の1つだった。

犠牲者の慰霊碑は10数年前に移転し、今は有明成田山大勝寺にある。ご冥福をお祈りする。

あの息苦しさは……飯田さんは当時を思い出し、冷や汗をかきながら語ってくださった。

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