廃墟の天草パールラインホテル(熊本県天草市) | コワイハナシ47

廃墟の天草パールラインホテル(熊本県天草市)

熊本の南、海に面した天草地方には有名な廃墟ホテルがあった。地元の男子たちが免許を取ったら肝試しに行こうというような場所。幽霊が必ず出たという事で評判なのだ。

幽霊が出るホテルは嫌われるが、廃墟ホテルに幽霊が出るとなるとがぜん人気が上がる。

Yさんも仲間2人と車でそのホテルに行った。

時刻は深夜2時だ。

運転していたYさん以外は酒に酔っていた。行くぞ行くぞ! と勇ましいが、シラフのYさんは行く途中からどうも気分が悪くなっていた。

Yさんは旧家の生まれで、家には蔵があったり明治時代からあるような建築物に囲まれて育っていたので、そうそう幽霊には慣れている、というか古い者=先祖霊に違和感がないのだ。

そんなYさんが、今回はどうも息苦しい感があった。

ホテルは廃墟感がすごかった。だが酔った友人たちは言う。

「ここの屋上に登って、向こうの階段を降りて3階の窓から手を振れたら1万円な」

で、最初はYさんが行くことになった。

その建物は3階建てになっていて、屋上には上ることができる。そして奥の方の階段から階下の3階へと降りる。そこの窓を開けて手を振ればいいだけのこと。

安請け合いをして、Yさんは屋上へ上がった。

真っ暗の中、やはり重苦しい気分は変わらない。屋上も当然誰1人いなかった。

奥の階段から下に降りて行く。階段をトントンと降りて行くと屋上の方でザワザワと人が話す声がする。

誰かまた肝試しの軍団が来たのかなと思って、降りて来るなら一緒に行けて安心だな……と思っていたが、一向に降りてこない。

(おかしいな……確か数人でいたよな)

気になって、もう一度屋上に上がる。

すると誰もいなかった。1人も。

Yさんはそこで初めて、背筋が凍り付いた。

自分の後ろを何人かの霊が憑いてきていたに違いない。

慌てて元来た屋上の道をさかのぼり、走りに走った。

3階からどうやって飛び降りたのか、外側の棒を伝って降りたのか全く覚えてないが、仲間のいる車に向かった。

仲間たちは逃げてきたYさんの形相が真っ青だったし、飛び降りて足を引きずっているしで、すぐドアを開けて中に入れた。

「どうした! なんか見えたとか?」

ドアを閉め、窓をしめるとYさんは言った。

「誰か屋上に向かってく集団、おらんかった?」

仲間は首を振る。

その時車のドアを

「コンコン」

と叩く音がした。誰もいないのに。Yさんは完全に車のカギをロックし、猛スピードでそこを出たという。

現在はこのホテルは解体されたという。

天草の1号橋の近くにあったが、この1号橋は昔から自殺の名所で、霊が出ることでも有名だった。霊のたまり場になっていたのかもしれない。

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