立田山の溜池に立つ学生の霊(熊本市中央区) | コワイハナシ47

立田山の溜池に立つ学生の霊(熊本市中央区)

立田山の中腹あたりに大きな溜池のような池があった。自然にできた池であり、近くまで降りることができた。

仁美さんは熊本大学の学生で、近くの下宿屋に住んでいた。ここの下宿のおばさんは面倒見のよい人だった。

仁美さんはこの池辺りを散歩するのが好きだった。

毎日その池を見ていたら男子大学生のような人が立っているのが見えた。まさか池で遊ぶ年でもなさそうだけど……と不思議に思って通り過ぎる。

次に行くと、今度は女性が立っているようだった。

気になって下宿のおばさんに話してみると、

「あの池、いつも誰か立ってますよね?」

「え? あんなとこに入り込んでる人なんか見たことなかよ」

「この前は男子学生、昨日は女性が立ってましたよ」

「そうね……気色悪いね……近所の人にも言うとくね」

次の日、仁美さんが下宿を出ようとすると、おばさんが走ってきて言った。

「仁美ちゃん、今日はあの池に行ったらいかんよ」

「何でですか?」

「……女の子が一人で行くなら悪い男もおるだろうけん、薄暗かし、近所の人はいかん。知っとる者はわざわざ行かん場所たい」

「はあ……」

確かにあの辺りは木が生い茂っていて薄暗いし、もし強盗にでも遭ったって叫んでも誰にも気づかれない……。

ただ、その池を通る方が早いので、やはりおばさんの話は聞かずに池の横の道を歩いた。

ついつい池にまた誰か立っていないか見る。すると

女性と男性、5名くらいだろうかザワザワした声が聞こえる。

(良かった、数人いるなら安心だわ……)

じっと池の人影を見ていると、背中から押された。

思わず岸にひっくり返りそうになった。

生えている背の高い葦や草を握って助かったが、確実に誰かに押された。そして池を見ると、数名の男女はいなくなっていた。

仁美さんは無我夢中で走り、下宿屋のドアを開けた。

「おばさん! あの池に……! 人がいたけど消えた!」

おばさんが慌てて出てきた。

「池? また行ったとね! だめて言うたでしょうが! あそこの池、学生が死んで浮いとったのが見つかったとよ」

「え! いつですか?」

「去年。学生で何人か飲んで帰って落ちたらしか。本当の事言うとな、あの池は昔から落ちる人も多かったとよ」

仁美さんはへなへなと座り込んだ。

「よそから来た人に言うと怖がるけん、言えんかったたい」

昔はその池で暴行魔に殺された女学生の遺体が上がることもあったようだ。酔っぱらって落ちたという学生もいた。

その池は山に降った水が人家まで行かないよう作られた大池で、雨水を貯めるために作られているので柵も何もない。

雨が降らない時期は乾くので池と気づかないかもしれない。

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