旧小別沢トンネルに潜むモノ(北海道札幌市西区) | コワイハナシ47

旧小別沢トンネルに潜むモノ(北海道札幌市西区)

札幌の西区には旧小別沢トンネルがある。

現在は新トンネルが横にできている為、通行することはできない。

トンネル内での心霊体験も多数挙げられるが、近くの廃墟での霊の目撃情報も多い。

噂ではその廃墟に住んでいた住民が強盗に襲われ、逃げ延びた先のこのトンネルで絶命したというものがある。

佐藤さんが友人三人とこのトンネルを訪れたときの話。

当時まだ現役だったこのトンネルは、心霊スポットとして有名であった。

トンネルが狭いことを聞いていた為、手前の空きスペースに車を駐め、徒歩で現地に向かう。

トンネルは、確かに車同士がすれ違うのすら危険に思える狭さだった。

他に人の気配はなく、四人は内部を探索し始めた。

壁面は手掘り──という噂通りの歪いびつなもので、トンネル自体も真ん中付近から微妙に曲がっていた。

途中、水の染み出た壁面が人の顔のように見えたが、笑ってやり過ごす。

四人は幽霊など信じていないし、アトラクション感覚でここを訪れていたからだ。

全長も短いトンネルである為、気が付くと出口が目の前にあった。

一度外に出て、それぞれが楽しそうに暫し感想を語り合う。

さて、戻ろうかとトンネルを振り返ったとき、皆の視線が一点に集中した。

トンネルの左隅に花が見える。

近付いて確認すると、少し枯れ始めた花束であった。

「これって……」

事故現場によく置かれている物だと認識した。

ただここしばらく、この場所で死亡事故があったという話は聞いたことがない。

トンネルの外壁にも、特に損傷したような箇所は見つからない。

「それでも花束があるってんだから、ここで誰か轢ひかれて死んだってことだよな。それもつい最近……」

佐藤さんの言葉に、皆は息を飲み込んだ。

先程までの楽しげな空気が一変する。

道を戻ろうとトンネルに入るが、何故か背後が気になって仕方がない。

少し進んでは後ろを皆で振り返る。

牛歩のような進み具合で、漸くトンネルの中心部まで辿り着いた。

そこで一度、休憩とばかりに皆で大きく息を吐く。

「何か聞こえないか?」

友人の哲平が声を潜めるように言った。

しかし、他の仲間には何も聞こえない。

冗談にしては哲平の表情が真剣過ぎる。

「いいから行こう」

佐藤さんに促されて皆が歩き出した瞬間──。

『うぉおおおぉおおお!!』

野太い男の叫び声が背後から聞こえた。

反射的に駆け出す四人。

途中、肩越しに背後を振り返ると、薄暗いトンネルの中にあって、さらに濃い闇を纏った真っ黒い人影が猛スピードで追い掛けてきていた。

悲鳴を上げながら、四人はトンネルを走り抜けた。

雄叫びを上げながら背後を付いてきていた人影は、トンネルを抜けた瞬間に霧散する。

「何だったんだよ……あれ」

「知るかよ、馬鹿」

揃って、切れた息を呼吸で調える。

ただ、この場に長くいるつもりはない。

早々に帰宅しようと車に戻った四人は絶句した。

運転席に先程見た花束があったのだ。

佐藤さんは車から花束を投げ捨て、皆を乗せると猛スピードで現場から離れた。

後日、色々と調べてみたが、トンネル事故のことは見つけられなかった。

人影の正体も不明のままだが、四人は現在も無事である。

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