千歳の高速(北海道千歳市) | コワイハナシ47

千歳の高速(北海道千歳市)

平成九年九月二日の早朝、高速道路でランプ橋工事中に作業事故が起きた。

橋脚を送り出す際に台車から外れ、ずれ込むというものであった。

数人の作業員は桁に挟まれ、衝撃で橋脚から落下するものもいた。

死者も出ており、ここを通過する際に何かを感じ取る人も少なくはない。

新田さんは仕事の都合で高速をよく利用する。

その日は取引先の絡みで、早朝から高速を走っていた。

まだライトを消すには早い時間帯である。走行車両も少なく、快適に走行していた。

──ダンッ!!

車が揺れる程の音がルーフから響き、慌てて急停車する。

後続車両のことを考え、路肩に車両を移動させて状況を確認する。

ルーフに凹みは見当たらない。

あれ程の衝撃であれば、何らかの痕跡は残っているはずである。

(おかしいなぁ?)

首を傾げるも、何処にも異常は見つからない。

走行車線を見ても、落下物のような物は見当たらなかった。

(うーん?)

納得できないまま、何となく上を見上げた。

近くにランプ橋があるが、そこからの落下物であれば車はひしゃげているだろう。

やはり、気の所為だったのか。

そう思った瞬間、頭上で何かが光った。

その光は真下へと一直線に落下し、路面で消えた。

今の光は何だったのだろう?

淡く弱い反射光であった。

新田さんは目を凝らし、その正体を確かめようとする。

間もなく、また弱い光が現れた。

目を凝らし集中する。

──それは作業着を着た人だった。

スローモーションで、もがき落ちていく。

その際に反射材は淡く光を放つ。

落下する人は地面に衝突した瞬間に、弾けるように消えた。

新田さんは唖然としながらその光景を見ていた。

頭の整理が追いつかない間に、光は何度も路面に落ちる。

作業員は何度も何度も宙に突然現れては、地面で消えるのを繰り返す。

この地獄のようなループは三十分程で漸く収まった。

(そういえば、事故があったのはこの辺だったよなぁ)

過去にニュースで見た作業事故を思い出す。

無意識に、光が消える路面に向かって手を合わせた。

一呼吸入れた後、新田さんは気持ちを切り替えて運転を再開した。

その後も、新田さんがここを通過する際に同じ衝撃を感じたことが数度ある。

それはいずれも、ほぼ同時刻であった。

しかし、二回目以降は停車させたり、確認に降りたりはしていない。

これが彼の出した答えである。

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