広島のお墓(広島県) | コワイハナシ47

広島のお墓(広島県)

長い間、この手の仕事をやっていると、なんともいえない不思議な現象に遭遇する。それはなんの前触れもなく、なんの前兆もなく、突然起こるのだ。

テレビの収録中にも奇妙なことは度々あった。2009年11月にBeeTVで放送された、ピエール瀧さんがメインMCを務める番組「ゴーストフィルムジャパン」の収録現場でも同様のことがあった。

収録の数ヶ月前に、MXテレビの違う番組で会っていたピエールさんは、笑ってこう言った。

「こんなに早く敏太郎さんと再会できるとは思いませんでした」

その日は数人の語り部たちが、怪談を語っていくという企画であり、私を含め数人が怪談をピエールさんの前で披露していった。

「実はね、こんなことがあったんですよ」

私がステージでピエールさんの眼前に座ると、突然奇妙な話をされた。

数年前、ピエールさんが所属する電気グルーヴの全国ツアーが開催された時のこと。広島公演に先駆けて、ツアースタッフの中山君と柴田君が前日にトラックで現地入りした。

早めにライブ会場に入って、ライブ機材を降ろしたいと思った2人は、市内をぐるぐると廻った。

(あれ、こいつ、広島の土地勘あるのかな?)

助手席に座った柴田君はそう思った。ハンドルを握る中山君がナビも使わず、あまりにもすいすいと市内を走行し始めたからである。

だが、よく見ると中山くんの顔色は蒼白で、眼がうつろである。

「中山、おい、おまえ大丈夫か」

柴田くんの問いかけにも中山くんは、鈍なまくら返事しか返さない。

「だだだっ、だいだい、大丈夫ぅぅ」

中山君は夢遊病者のような緩慢な動きながら、何故かハンドルだけはしっかり操作し続けた。

そのうちトラックはどんどん山の中に入っていく。どう考えてもこんな山の中にライブハウスがあるわけがない。

「おい、中山、いい加減にしろ!! トラックを停めろ!!」

柴田君がそう呼びかけたとき、道がなくなりトラックが止まった。周囲は真っ暗で閑散としている。

「うわっ、なんでここにいるんだろう!?」

突然、中山君が大声を発した。

「おまえ、自分でここに来たんだろう?」

「すっ、すまない、まったく覚えてないんだ」

中山くんは頭を抱えた。車のヘッドライトの先には、墓石群が映し出されていた。

この墓石群、広島市内の小山に設置されていたものだが、ある道路工事の邪魔になると判断され、移動されたものであった。

この工事とは、1991年(平成3年)3月14日に橋桁落下事故が起きた現場であり、移動された14基の墓石とまったく同じ数の14人の死者を出している。その移動した墓石たちに、トラックは突き当たったのである。

「わわわわっ、どうする?」

「中山くん、これは逃げるしかないよ」

2人は車を猛スピードで飛ばし、現場から逃げ出したという。

この現場、14基の墓石と14人の死者が〝14〟という数字でリンクしているが、それだけではない。──14という数字に呪われているのだ。

発生した日の3月14日の〝14〟、発生時間の14時5分の〝14〟もリンクしているのだ。

さらに工事中に落下した橋桁の長さは〝14メートル〟で、最寄り駅は広島駅から〝14番目の駅〟になる予定であったという。

しかも、辛くも落下物の直前で助かったマイクロバスには〝14人の園児〟たちが乗っていたのだ。

そんなヤバすぎる14基の墓石に2人のスタッフは引き寄せられたのだ。

「山口さん、どうです。うちのスタッフのこの体験、やばいでしょ」

ピエールさんの問いかけに、私は落ち着いた表情でこう言った。

「ピエールさん、何故、その話を私にしたんですか」

「いや、なんとなく、敏太郎さんにこの話をしなければならないと思ってね」

ピエールさんは驚いたような表情を浮かべた。

「実はね、その事故の現場で落下した鉄骨、僕が会社員になったときの初めての上司が輸送を担当してたんですよ」

「ええっ!? なんですって!?」

「仕事の立ち上げ当初は担当だったんですが、事故の直前に広島から千葉支店に転勤になって、その後、新入社員の僕がそのセクションに配属されたんです」

因縁とは奇なものである。

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