赤い車(東京都) | コワイハナシ47

赤い車(東京都)

ある人が新車を売った。

真っ白だったボディを真っ赤に塗装しなおして。

ある夜、彼が友人を乗せて都内の国道を走っていると、急に人影が前を横切った。

バーン!

ボンネットになにかが当たった。

「しまった!」

急停車し、あわてて車を降りてあたりを見る。だが人影はない。

「誰もいないぞ」

「じゃあ、犬かなにかをはねたんじゃないの?」

「うーん、人だったように思うがなあ」

どこにもこれといった異常がないので、とにかくその場を離れ、途中に交番を見つけて立ち寄った。

「気のせいかもしれませんが、なにかをはねたようなんです」

警官はその場所に同僚を派遣したが異常は見られず、なにかあったら連絡をくれるということで、住所と電話番号を書いてアパートに帰った。

だが、朝になっても警察からはなんの連絡もない。

「じゃあ俺帰るわ」

一緒に連絡を待っていた友人も出ていった。

しばらくして、カンカンカンカンカンカン。

アパートの階段を駆けあがる音がする。

バーン!

玄関のドアを開けて、血相変えたその友人が入ってきた。

「おい、どうした」

「くるま、くるま、くるま、くるま、くるま……」

「車がどうした?」

「いいから来い!」

友人は彼の手をひっぱって彼の車を停めてあるアパートの前の駐車場へ走って行く。

「これ見ろ」

なんと、真っ白なボンネットに血のりが二つ、赤いてのひらの形にべったりとついているではないか。

あわてて警察に電話を入れる。だが、別になんの届け出も出てないし、実地調査してみたが痕跡すらなかった、という。

その赤いてのひらは……拭いても拭いても、洗っても洗ってもまったく落ちなかったそうだ。

気味が悪くなって、もうこの車には乗る気が起こらない。

しようがないのでそこだけヤスリで削り落とし、何も言わず塗装屋に持っていって真っ赤に塗り直してもらい、それを売ったのだという。

廃車にするのも怖かった、と彼は言っていた。

これはごく最近にあった話である。

だからおそらく、誰かがこの車に乗っているはずである。

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