母の味のジャム(青森県) | コワイハナシ47

母の味のジャム(青森県)

香津代さんが庭から採れたブルーベリーをジャムにしようと煮詰めていたときのことだ。

弱火で火を掛けたまま、椅子に座って雑誌を読んでいた。

ガチャッとキッチンのドアが開き、現れたのはもう何年も前に亡くなった母。

母は割烹着姿で真剣な表情をしている。

言葉が出ない。両親から受け継いだ家の台所で母の姿を見ると、タイムスリップしたような感覚を覚えた。

母はガス台に向かうと、上白糖を入れた四角いボックスに手をつっこみ、ひとつまみだけ足した。

そして、またドアを開けて出ていった。

できあがったジャムは普段と変わらず美味しかったが、いつもより甘く、香津代さんは母に対して「流石、甘党」と心の中で思ったそうだ。

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