津軽の子ら 妖しき子供(青森県) | コワイハナシ47

津軽の子ら 妖しき子供(青森県)

青森で怪談の取材をしていると、妖しき子供、怪しき赤子が登場する話を都会で暮らしていた頃よりも、よく聞く。

そんな話を幾つか。

※※※

弘前市、武道館近くの無人駅。

電車を待っていたときのことだ。

黄昏時の中、ホームに立っていたのは自分と数人の見知らぬ若者達だけだった。

猫の鳴き声が聞こえていた。

真向かいのホームには女性が一人。

「赤ちゃんの声聞こえねぇが?」

「いや、聞こえねぇな」

若者がそんな会話をした。

「いや、赤ちゃんの泣き声するべ」

一人が強くアピールするが、他の二人はつれない。

それにしても、自分にはどう聞いても猫の鳴き声しか聞こえない。

ふと、反対側の女性に目を向けると、彼女が両腕で包むように赤子を抱いていたことに気が付いた。

では、これは猫ではなく赤子の声なのか。

しかし、音の距離感からすると、あの女のほうから聞こえているようにも思えない。

もっとどこか遠くから聞こえているような……。

そんなことを考えながら女性を見つめていると、女がこちらを見た。

と、同時にその姿が小さな光る球体に変わる

球体はこちらに向けて高速で飛んできたかと思うと、自分をすり抜けてどこかへ行ってしまった。

※※※

登山仲間数人と弘前市の岩木山で山登りをしていたときのことだ。

歩くのは、傾斜こそ急ではあるものの足場がしっかりしていて、体力さえあれば小学生でも登頂できるルートだ。

そろそろ登頂も近くなった頃、下山する野球帽とTシャツ、半ズボン姿の子供と一行はすれ違った。小走りに近いスピードで下りていく元気な子供の姿は微笑ましい……と言いたいところだが、彼の足元を見ると、何と裸足だ。

「おいおい。裸足だば裸足じゃあ危ねど!」

すれ違い様に仲間の一人が声を荒らげて注意をしたが、子供はあれよあれよという間に姿を遠ざける。

「大丈夫なんだがぁ。なんぼ元気だばしてなんだ」

気をとり直して再び上に向かうと、先ほどの子供がまったく同じ出で立ちでまた上方から現れ、一行とすれ違って去っていく。

虚を突かれた仲間達は顔を見合わせた。

「兄弟だが?」

「まだ裸足だったな」

「親はどこさいる?流石に子供だけってことはねえべ」

足を止めてそんな会話をしていると、また足早に下山するその子供とすれ違ったため、具合が悪い。

皆で登頂するべきか下山するべきか相談をした結果、下山することになった。

※※※

比奈さんは以前勤めていたCD屋さんで、閉店後に事務仕事をしているとき、幾つもの陳列ラックを縫うように走り回る女の子の姿をよく見たそうだ。

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