どうぞ 借り手がつかないビル(青森県) | コワイハナシ47

どうぞ 借り手がつかないビル(青森県)

某所。

頻繁に借り主が変わるテナントがあった。

雑居ビルの一階ワンフロアで備え付けのカウンターとテーブルが二つほど置けるスペースがあり、もし使うなら小さなバーかお食事処という按あん配ばい。

実際、バー、ラーメン屋、テイクアウトが主のタイ料理屋、安価な蕎麦屋などが開業と閉店を繰り返していた。

駅から近いという好条件の割に、誰が借りようとそこは閑古鳥が鳴く。

不動産屋としては、借り主が変わるたびに手数料を取れるので、気にはならない。

店が繁盛するかしないかなど商才次第。

どうぞお好きに。

ある内覧者はそのテナントに入るなり「ここ出たりしません?」

と言った。

「いえ。そんな話は聞いたことありませんよ」

と業者は返した。

また、ある内覧者は「ああ、俺は無理。何か見られている気がする」と言って、外へ飛び出したまま、帰ってこなかった。

中には、店内で嘔吐する者もいた。

しかし、いずれ借り手が付く。

どうぞお好きに。

とっくに巷では怪しまれている場所となっていた。

何でも、あそこは出るらしい。

「あそこの内覧の引率、ちょっと代わってもらっていいですか。何だかあのビル気味が悪くて」

新入社員はそう言った。

「うるせえな。寝ぼけてないでいってこい」

社長はそう言った。

新入社員はその後、無断欠勤が続いた挙句、行方不明になった。

警察に届けるも、進展なし。

行方不明も、どうぞお好きに。

そしてある日からテナント募集の看板が取れつつも、一向に店が入る様子がないまま、幾年かが過ぎた。

聞くと、ビルの上階も全て空室になっているという。

管理会社は経営難で潰れたとのこと。

最近、新たな管理会社が付いたが、すぐ手を引いた。

手を引いた理由は分からない。

どうぞお好きに。

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