まんまるの顔の男(青森県) | コワイハナシ47

まんまるの顔の男(青森県)

霊感とかはないけど、変なものなら見たことあるよ。

内藤さんは、そう前置きをして話し始めた。

十代半ばの頃、何かの用事で白昼の街中を一人歩いていた。

そこそこに人通りがあったので恐らく週末か休日だったのだろうと、内藤さんは回想する。

歩道を行き交う人々を横に避けたり追い越したりしながら、歩いていた。

「あっ」

と、歩道の真ん中に仁王立ちする男に出くわし、躱し切れず立ち止まる。

右に避けようか左に避けようか思索するべく、改めて男の顔を見る。

男の顔はまんまるだった。

目鼻口も耳もあったのだが、眉毛、髪の毛は一本もなく、肌はつるっとしている。

まんまるの顔は膨らんで倍ほどに大きくなったり、萎しぼんで半分ほどに小さくなったりしている。

球体の風船みたいだ。

恐らくは病気なのだろうと判断し、内藤さんはすっと目を逸らしつつ、一方へ身体を避けて追い越した。

あんな病気もあるんだな。可哀想に。

そのときはそう思ったのだが、大人になるにつれ、〈変なものを見た〉思い出に変わっていったそうだ。

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