人とそれの関係 謎のカツカツ音(青森県) | コワイハナシ47

人とそれの関係 謎のカツカツ音(青森県)

岸本は二十代の頃、道路建設会社に勤めていた。

毎年、年度末には東京へ出張する。

出張先では、同僚達と二段ベッドが三つ置かれた狭い部屋に二カ月ほど泊まるのが常だったが、一度だけ何かの都合で一人一人に部屋が宛あてがわれた年があった。

「ちょうちょうなあなあ、あのカツカツって音するの何だべな?」

「ああ。鳥っすかね。わぁ俺は鳥だと思ってだけど……」

「鳥が。うん。んだがさもかもな」

隣の部屋に住む先輩同様、岸本もこの一週間気にはなっていた。

工事は昼夜問わず行われる。夜勤明けにアパートで寝る日もあれば、昼勤明けにアパートに戻る日もある。いずれにせよ、寝ていると音がする。カツカツとどこかの壁か屋根をつつく音がするのだ。音は一分ぐらい続くのだが、突如止まる。

何だろう、とは思うものの騒音で眠れない訳でもない。

音はするが、どうでもいい。その程度のものだった。

出張が終わり、皆で青森に戻った。

それから、出張に出向いた六人全員が毎日のようにそれぞれの住まいでカツカツ音を聞くこととなる。

「あれ、なんなんだべな」

「連れできてまったんだべな」

「ま、いいべいいべ」

岸本も含め「怪我もなく出張が終わったし、まあ、いいべ」で話は終わった。

一カ月ほど音は続いたが、知らぬ間に聞かなくなったそうだ。

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