ママと美緒ちゃん(青森県) | コワイハナシ47

ママと美緒ちゃん(青森県)

何度も何度もピンポンが鳴る。

どうしてママはお客さんが来ているのに迎えに行かないのかな、と美緒は思う。

ママ誰か来たよと教えるべきなのかどうかは、まだ分からない。

一回目なら伝えることもができたかもしれないが、もう機を逸してしまった。何度も何度もピンポンは鳴っているのだ。

大人の事情なのだろう、と美緒は収める。

母はテレビを観て、微動だにしない。

気付いていない訳がない。

ママはさっきピンポンの音に負けないよう、テレビの音量を上げたのだ。

この煩うるさいピンポンは、いつ鳴り止むのだろう。

「ママァ」

美緒は持っていた人形を床に置いて、母に一声掛けた。

「美緒ちゃん」

優しい返事。

「美緒ちゃん。ピンポン聞こえるんでしょ。うるさいよね。でもさ」

「うん」

「この家、ピンポンないよね」

「うん」

「何でピンポン鳴るんだろね」

「うん」

「ピンポンない家に、ピンポン鳴らしてくるお友達なんて、何か変だよね」

「うん」

ママの言う通りだ。

「そのうち、鳴り止むよ」

「うん。なら、いい」

美緒さんの記憶はそこまでで、その後のことは覚えていないのだそうだ。

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