オーディション(青森県) | コワイハナシ47

オーディション(青森県)

私が「アイドル好き」であることを話すと、深雪さんはかつて役者になりたかったという話を聞かせてくれた。

映画、ドラマのエキストラも経験したことがあり、端役のオーディションを受けたことが何度もあるのだそうだ。そんな話をしていると、

「あっ!変なことあった!」

と深雪さん。

深夜ドラマのオーディションだった。

登録制の芸能事務所から送られてきたメールで開催を知ると、主人公の友人A役になるべく、深雪さんはオーディションに参加した。

あまり注目度の高くなさそうなドラマに思えたので、グループ形式のオーディションになるのだろうと予想していたが、蓋を開けてみると意外にも別室待機で一人ずつ名前を呼ばれた。

待機部屋には二十人ほど。

「八番、タカトリクミコさん」

「はい」

「十一番、ユメヤカズコさん」

「はい」

スタッフの呼びかけがあると、荷物を持って待機部屋から退出する。

面接終了後は、まっすぐビルから出ていくのが決まりだ。

「十五番、小野深雪さん」

「は……」

「はぁい」

深雪さんの返事を食うように、他の女が返事をした。

(確かにあたしの名前を呼んだはずなのに)

返事をした女はすっくと立ち上がり、部屋のドアを塞ぐように立つスタッフの男の身体を真正面からすり抜けて出ていった。

「小野さあん。小野深雪さんいませんかぁ」

「は、はいっ」

結果は不合格だった。

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