病院に来た子供(大阪市) | コワイハナシ47

病院に来た子供(大阪市)

知人の親族が脳膜炎で大阪市内のH病院に入院した時の話である。

彼が病院に担ぎ込まれた時、夜中にひとりの子供が現れた。

おかっぱ頭の着物を着た可愛い女の子で、手に鞠を持っている。いや、彼ははっきりそれを見たわけではないだろう。彼は頭を上げることができなかったはずだから。

しかし、彼は確かに見たという。その子供がベッドの脇にすくっと立ち、こちらをじっと見ていたのだと。

「もう遅いから、お帰り。もうお帰り」

本人がそう喋ったのかどうか、とにかく子供にそう言うと、しばらくして隣の患者のベッドの脇に寄って、隣の患者をじっと一晩見ていたという。

朝になって、隣のベッドの患者が亡くなった。

そして次の晩にもその子供は現れた。

今度はトーン、トーン、トーンと鞠をつく音がする。

「あ、あの子が来たら今度は俺が死ぬ」

そう思った時、その子の顔が自分の顔を覗き込むように、目の前にぬっと現れたのである。おかっぱ頭、顔の造作ひとつひとつは覚えていないが、目鼻だちの整った無表情な、しかし可愛い女の子であったという。

「あっち行け、あっち行け、あっち行け、向こう行け、来るな、来るな、来るな」

声にならない声で、必死に子供に向かって言いつづける。

朝になって、ふっと子供がいなくなった。

枕元が騒がしい。持ち直した、電話や……などと言っているのが聞こえる。

視界がはっきりしてきて、親戚縁者の顔が見える。

その時、彼は危篤状態を脱したのだ。

「ああ、腹が減った」

と彼はさっそく食べ物をねだったのである。

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