無花果の樹(大阪府吹田市) | コワイハナシ47

無花果の樹(大阪府吹田市)

阪急電車の正雀駅近くの踏み切りに一本の無花果(いちじく)の樹がある。

この樹の枝が三軒並んだ平屋建ての民家のひとつから塀越しに踏み切りの方向へ向かってのびてくる。これが電車の通行の邪魔になるため、駅員が枝の伐採を行うのであるが、この樹の枝を切ると必ずそこで事故が起こるという。車と電車の接触、自転車との接触、人身事故、動物がはねられることもある。樹の枝を切ってからある一定期間のうちに必ずそういった事件が発生するので、最近では枝を切る時には必ず祈禱師を呼んで祈禱をすませることが恒例となっているそうだ。

さて三軒並んだ平屋建ての民家のうち、真ん中の家が呪われた家として地元ではかなり有名であった。ここに住んだ人は過去三代にわたって不幸がおとずれた。一代二代の運命は記憶に定かではないが、三代目の住人は主人が蒸発、奥さんが精神病院、息子が交通事故、という一家破滅の状態となったのである。

この場所に十年ほど前、日本テレビの深夜番組『11PM』の取材班が入った。大勢のヤジ馬のごったがえすなか、ゲストに呼ばれた僧侶が車から降り立った。おそらく彼がここの霊の謎を解き、念仏で霊を追い払おうという企画なのであろう。ところがこの僧侶は、真ん中の家に入ろうとした途端、「あっ、これは私の手におえん」と言ってくるりと家に背中を向け、車に戻ってしまった。

先生それは困ります、とスタッフが慌ててこの僧侶の説得にかかったが、僧侶は一言、「私よりももっと徳の高い僧を呼びなさい」と言ってそのまま帰ってしまった。

結局この日の模様は放映されなかったのである。

今ではその三軒の平屋建てはすっかり別の建物に変わり、その時をしのぶ面影もない。ただ、例の無花果の樹だけは、まだそこにある。

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