床の間の柱 さかさま(奈良県) | コワイハナシ47

床の間の柱 さかさま(奈良県)

奈良県での話である。

ある一家が家を新築したのだが、それからというもの常に家族のうちの誰かが原因不明の発熱に冒されて倒れるのである。しばらく寝込んで治ったかと思うとまた誰かが病床につく。寝ている間はひどくうなされ、看病をする者にひどく心配をかけるのだが、目を覚ますと本人はなにも覚えていないのだそうだ。

それが新築以来ずっと続いた。

その日も数日前から主人が倒れて床についていた。

見舞いに来た男が、ふっと呟つぶやいた。

「間違えとるな」

家族の者が尋ねると、その男は床の間の柱をじっと眺めた。

「原因はたぶんこれと違うか。あの柱、上下さかさまやで」

後日、その言葉がちょっと気になった家族の者がこの家を建てた業者に相談すると、上下逆に柱を建てたなど考えられないが、もし本当なら無料でやり直しをするからと調べてくれた。すると、その柱は確かに根の部分が天井に、枝葉が生える幹が床下を向いて、しかもその床下にもぐった部分にはうっすらと根毛が生えていたのだ。何年も乾燥されたはずのこの柱も、どこかにまだ生命のみずみずしさを保っていたのである。

柱木の上下を元に戻してからは、今まで一家を悩ましていた熱病は、噓のようにピタリとやんだ。

なにか木の無念さを感じさせる話である。

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