部屋を横切る女たち(東京都練馬区) | コワイハナシ47

部屋を横切る女たち(東京都練馬区)

練馬区のアパートに住んでいるM子さんの部屋には、女性の群れが現れて、壁から壁へ抜けていくのだという。

もともと、M子さんはこのアパートに引っ越してきた時から、ここはあまり良くないのではないかと思ったそうだ。友人たちはなにかこのアパートの色が変だという。アパートの色は黒くはないのだが、印象が黒いというのだ。

飼っていたカナリアが死んだり、このあたりには小動物が寄りついてこないような雰囲気がある。

そのアパートの中にある彼女の部屋に、〝出る〟のだ。

モンペに頭ず巾きん姿から、スマートなスラックス姿の女性まで、年代に統一性がまったくない。いろいろな世代から抜け出てきたような女性たちが部屋の壁から、ざっ、ざっと集団で歩いて現れ、部屋を斜めに横切り、また別の壁に消えていく。

その怪しげな女性たちの様子を見ていると、まっすぐ歩くもの、おしゃべりをしているもの、さまざまである。まるでここが、どこかへ行く通り道であるかのようだ。

出る時間は決まっていない。ただ、出る前に壁の向こう側からざわざわと話し声が聞こえてくる。そして、どっと壁から女性たちが現れて、部屋の隅を横切って、別の壁へ消えるのだ。その通り道だけは変わらない。

このあたりは神社が多く、もともとはあまり人の住んでいない土地であったようだ。また、今も人家がまばらである。人が住んではならない土地なのかもしれない。徒党を組んで歩いて来る女性たちにとっては、このあたりに建った人家がきっと邪魔なのだろう。

「この女性たちは、きっと私の部屋だけでなくて、その道に当たる場所にある家にも同じように現れて、歩いて、また壁かどこかに消えているのだと思う」

とM子さんは言う。

「このあたりで女性が死ぬたびにこの女性たちの数が増えていくような気もするわ」

その女性たちは今も彼女の部屋に出る。

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