夜行バス 東北自動車道(宮城県白石市) | コワイハナシ47

夜行バス 東北自動車道(宮城県白石市)

ある日、結花さんは東京の新宿駅南口にあるバスターミナルから、夜行の高速バスに乗り込んだ。行先は仙台駅東口。勤め先から早めの夏休みをもらった結花さんは、仙台市に住む友人のところへ遊びに行こうとしていた。

七月初旬の平日というだけあって、ちらほらと空席があった。二十四時半頃、バスが出発すると、結花さんはすぐに眠りに落ちた。初めての夜行バスで眠れないのではないかと思っていたのだが、意外にも熟睡できて、早めに目が覚めた。

ふと腕時計を見ると、時刻は早朝の五時半を示していた。

仙台へ到着するまでにはまだ時間がある。結花さんは車内のトイレへ行こうとした。

すると、真っ暗だった通路にぼんやりと明かりが灯った。(まだバスは走っているのにどうして?)と結花さんは不思議に思った。そこへ前方からゆっくりと通路を歩いてくる男性の姿が見えた。男性はライダーズジャケットにヘルメットという格好だった。どうして車内でヘルメットを被っているのか? 結花さんが不思議に思っている間にも、男性はゆっくり、よたよたといった感じで近付いてくる。酒に酔ってでもいるのだろうか。

男性が結花さんの目の前にきた。結花さんは座席に座ったまま、顔を見上げて「ひっ!」という短い悲鳴を上げた。男性の顎辺りから血が滴り落ちていたのだ。

恐怖でおののきながらも、結花さんは男性から目を離すことができなかった。

男性は結花さんの真横で足を止めた。通路を挟んで結花さんの隣は空席である。男性は空席に座ったかと思うと、忽然と姿を消してしまった。

結花さんは、何が起こったのか理解できなかった。他にも見ていた人がいるかと周りを見回したが、皆眠っているようだ。運転手に告げようかとも思ったが、どう考えても男性がバスの乗客だったとは思えなかった。もしかしたら、この辺りで事故を起こしたライダーの霊が迷い込んだのかもしれない。

結花さんは、震えながら終点までを過ごした。

仙台市に到着して、結花さんはバス内での出来事を友人に語った。

夜行バスの運営会社に問い合わせると、早朝五時半といえば、夜行バスは東北自動車道の白石インターチェンジ辺りを走っている頃らしい。

結花さんは、東北自動車道の死亡事故を調べてみたが、昨夜は起きていなかった。

ただ、過去にはライダーが死亡した事故がいくつかあったようだ。事故で亡くなったことを気付いていないライダーの霊が、バスに乗ってでも自宅に帰りたいと思って現れたのかもしれない。

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