蛇女 蛇淵の滝(新潟県中魚沼群津南町) | コワイハナシ47

蛇女 蛇淵の滝(新潟県中魚沼群津南町)

大学生の美佳さんは友達と二人で紅葉の美しい秋山郷を訪れた。秋山郷は新潟県と長野県の県境にまたがる秘境である。

秋山郷の中でも特に美しいのは、紅葉に彩られた滝の風景。その光景を目にすると、月並みな言葉だが、「絵のように美しい」と言いたくなるという。美佳さん達は期待を込めて滝へと向かった。

滝の名前は一風変わっていて「蛇淵の滝」と言う。その由来はこうだ。

昔々、熊取名人が熊の後を追いかけ、川に架かった丸太を渡った。渡り終えたところで、振り返ると、丸太だと思っていたのは実は大蛇であることが分かった。名人は恐怖で脇目も振らず山道を逃げ帰った。そのため、「蛇淵の滝」と名付けられたそうだ。

蛇淵の滝への入り口を示す看板を頼りに、駐車場からは十分ほどの散策道を行く。歩きながら美佳さんは、真っ赤に色付いた紅葉を間近に見て楽しんだ。

ただ急勾配の散策道を下りながら、逆に急勾配を登なければならない帰り道が、美佳さんは少し心配になった。

散策道の先には展望台があった。展望台からは滝の全貌を見ることができた。

美佳さん達は葉の赤や緑、黄色と、それらの微妙な濃淡を背景に落ちていく真っ白な滝の水に心打たれた。

充分に目を満足させた後の帰りの散策道で、美佳さんは何かに躓いてしまった。足元をみると、そこに一匹の蛇がいる。

美佳さんは恐ろしさのあまり、大きな声で叫んだ。

ところが友達は笑っている。蛇だと思っていたのは、実は木の枝だったのだ。

蛇淵の滝の名前の由来を知ったばかりだったので、木の枝が蛇に見えたのかもしれない。美佳さんは自分自身のそそっかしさに笑ってしまった。

その日の晩、美佳さんが旅館で休んでいると、同じ布団の中に誰かがいる気配を感じた。美佳さんは友達が寝ぼけて布団に入ってきたのだろうと思った。

美佳さんが寝返りを打つと、髪の長い女の後頭部が見えた。なんだか友達とは違う気がしてその向こうを見ると、友達は自分の布団の中にいた。

美佳さんが、何かがおかしいと思ったちょうどその時、侵入者が振り向いた。そこにいたのはやはり友達ではなく、全く知らない女であった。

女の口は耳元まで大きく裂けていた。女はその大きな口から舌を出した。舌は長く伸び、美佳さんのおでこを舐めた。

美佳さんは逃げようとした。すると、女は美佳さんに抱きついてきた。女の力は強く、美佳さんは身動きできない。女はじわじわと美佳さんを締め上げてくる。

美佳さんは助けを呼ぼうとした。が、声が出ない。友達は美佳さんが置かれた状況など知らず、スヤスヤと眠っている。

締め付けられた美佳さんはそのまま気絶してしまった。

朝になって目覚めると、美佳さんは昨日の出来事を友達に話した。しかし、友達からは「夢でも見たんでしょ」と笑われてしまった。

確かに現実にそんなことがあるわけがない。美佳さんもあれは夢だったのだろうと納得することにした。

しかし、洗顔後に鏡を見た時、首に内出血したような痣があることに気付いた。これは何者かに締められた時にできたのではないか。美佳さんは旅館中に響き渡るほどの悲鳴を上げた。

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