河童を見たその一(和歌山県) | コワイハナシ47

河童を見たその一(和歌山県)

Tさんが、中学生だったというからもう二十年も前のこと。

Tさんは、夏の夕陽が山の頂きにわずかに残る紀の川沿いの堤防を、ガールフレンドと歩いていた。和歌山県の山の中の村のこと、あたりはだんだん暗くなっていく。

と、いきなり目の前に、なにかが飛びだした。

相手は小学生くらいの大きさで、全身がぬめりのある身体。二本足で立っている。その、妙なものと目があって、しばらく互いに動けなかった。

はっ、と気づくと、向こうもあわてたらしく、そのままバッ、と身体をかわして、川の水に飛び込んだ。そして超人的な早さで泳ぎ去ったのだという。

「キャー!」と、彼女が悲鳴をあげたのはその時であった。

彼女も、それを見ていたのである。

「あれは、絶対河童でした!」とTさんは譲らない。

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