線路に生首(長野市 安茂里) | コワイハナシ47

線路に生首(長野市 安茂里)

「もうかれこれ六十年くらい前になるかな。あのころは、鉄道に踏切が無くてね。信越線だったと思うけど、うろ覚えだな。とにかく国鉄の列車が走ってたんだよね。だけどね、踏切がないもんだから、しょっちゅう事故が起きてね……」

七十歳を過ぎた小竹さんはゆっくりと話し始めた。

今は「安茂里駅」となった場所の辺りの話だ。長野工業高校の移転跡に駅ができたというが、以前、この場所には線路しかなかったようだ。

「そこで見たんだよ。線路に生首が立ってるのをね。子供のころだったから、視てゾッとしてさ、わーっと友達と逃げたりしてね」

踏切がないので、鉄道事故が多発していた地域。

本物の生首か、霊の首かもわからなかったそうだ。

「そんな時にね、隣のおじさんが自殺か何だかわからないんだけど、事故に遭ったんだよ」

小竹さんは遠い目をして言った。

「そしたらね、線路に生首が立ってるんだよ。それが隣のおじさんなんだ。首だけスパッと切れるんだろうね、あの血だらけの顔は忘れられないよ。だけどね、子供っていうのは最初怖がるけど、だんだん強気になっていくっていうかね。友達とその生首を見に行こうってなったんだよ。生首ってのは、首をさらすのもあるけど、立つようにできてるようなんだよ。普通は、『ごろん』ってなるとおもうよね、それがきちんと立つんだよね」

隣のおじさんの生首が線路にあったのだそうだ。どういう状況だったのか、しばらくその生首だけ線路近くに放置されていたようだ。悪ガキがそれを見にいったり、今と同じように肝試しに行ったりしていたという。

「でね、毎晩その生首が襲ってくるような夢を見たんだよ。あの隣のおじさんがね、僕にあの目が飛び出た血だらけの生首で噛みついてくるような。しばらくは怖かったよ、さすがにね」

子供心にその生首が残像のように見えたようだ。

「そしたらね、すぐ後だったかな。一緒に遊んでいた友達のお兄さんがまた事故に遭ったんだよ。そしてまた、その生首が線路に立ってたんだそうでね。さすがにもう僕は見に行かなかった」

事故多発地帯のものとしても、薄気味悪い話である。

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