龍神のお告げ(長野県木曽郡) | コワイハナシ47

龍神のお告げ(長野県木曽郡)

大正十二(一九二三)年七月二十四日に起きた木曽谷の大洪水の際、もっとも被害が甚大だったのは、木曽谷の南部に位置する大桑村だったという。

洪水が起きる数日前、電気工事のために多くの土工が村に入りこみ、複数の現場にそれぞれ数十人が従事する形で、大掛かりな工事が行われていた。

そのなかで三十八人が一箇所に集まって作業を行う現場があった。

そのうちの土工のひとりが、崖の中腹につるはしを入れたところ、そのすぐ下に穴ぐらがあり、そこを覗いてみると数え切れないほどの蛇がとぐろを巻いて、ひしめき合いながら動いている。

それを見た土工たちは、気味が悪いだのなんだのといいながら、面白半分に蛇たちを殺して谷底に投げ捨ててしまった。

するとその夜、ある村人の夢に龍が現れて、土工たちに蛇を殺された報復として、今度の二十四日までに大桑村を水の底に沈めると告げた。

翌日、村人はその話を他の者たちに伝えると、純朴な村人たちはその予言をひどく恐れ、ある者は寺に経をあげにいったほうがよいと提案し、またある者は神に救いを願うしかないと騒いだ。

そして村をあげての盛大な蛇祭が執り行われたが、それは無駄なことだった。

二十四日に木曽谷は大洪水に見舞われ、龍神のお告げ通りに大桑村は壊滅的な被害を受けた。

その際に、先の土工三十八人全員が鉄砲水に流され、誰ひとりとして見つからなかったという。

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