中央自動車道の怪(長野県諏訪市) | コワイハナシ47

中央自動車道の怪(長野県諏訪市)

五年ほど前のことだという。

会社員のTさんが出張先の東京から自宅が所在する安曇野市へ戻るために、中央自動車道を車で走っていると、諏訪インターチェンジを過ぎた辺りで、背筋にぞくりと寒気が走った。

その時は七月の初旬で、気温は三十度近くまで上がっていた。

エアコンは苦手なので車の窓を開けていたとはいえ、寒気など感じるはずがない。

なぜだろうと思ったそのとき─。

路肩に小さな男児が膝を抱えて座っているのが見えた。

車道の外とはいえ、高速道路に子どもがひとりでいるなど危険極まりない。いったい親はなにをしているのかと思ったが、近くの待避所には車は一台も止まっていなかった。

だとすると、あの子はひとりで歩いて道路に入ってきたのか─。

そんなことを考えながら、ルームミラーを見た瞬間、Tさんは驚きのあまり危うくハンドルを大きく切りそうになった。

後部座席に男の子が座っている。

姿格好から見て、路肩にいた子どもに違いない。その男児が無表情のまま、ぼうっと前を見つめて座席に腰を下ろしていた。

「お、おいッ、き、君ッ!」

そう口にするのが精一杯だった。

高速道路内で運転中とあって、停車するわけにはいかない。

必死の思いでハンドルを握っていたが、二分ほど経った頃(Tさんは十分ほどにも感じたらしいが)、再びルームミラーを見ると、男の子の姿は消えていた。

「うわ、これはヤバいもん見ちまったな」って。でも、生きている人間みたいに色艶のいい顔だったんですよ。幽霊といえば青白い顔をしているのが相場だと思っていましたから、それが意外でしたけど─」

その後は何事もなく自宅に帰り着いたそうだが、そのことがあってからは、東京出張の際は車を使わず、新宿駅~松本駅間を走る『特急あずさ』を使うようにしているとのこと。

Tさんが男の子の幽霊の姿を見た辺りでは、古くから事故が多発しており、近くの中央道下り線の茅野バス停付近では、小さな子どもを連れた白い着物姿の女性幽霊の目撃談が噂されているという。その幽霊が事故を引き起こしているといわれている。

女性の幽霊が連れているという小さな子どもと、Tさんが見た男の子が同一かはわからないが、読者のみなさまが中央道を通過するときに子どもの姿を見かけたら、くれぐれも注意していただきたいと思う。

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