秋山郷の消滅した村(長野県下水内郡) | コワイハナシ47

秋山郷の消滅した村(長野県下水内郡)

新潟県津南町と長野県栄村にまたがる山深い場所に所在する「秋山郷」は、平家の落人伝説が残る場所で、冬になると豪雪に見舞われ、四方の交通が閉ざされてしまうことがあるという。

また過去には、度重なる飢饉により消滅してしまった集落もあったそうだ。

江戸時代末期、あるひとりの僧侶が前倉から屋敷集落へ向かうため、険しい山道をひとりで歩いていた。

天明三(一七八三)年の浅間山噴火で大飢饉が発生した際、村人がひとり残らず飢死したといわれる大秋山村に差しかかった。

陽が落ちて、辺りはすっかり薄暗くなっている。

かつて村があった場所には一軒の家も残らず、ただ鬱蒼とした林といった様子で、さすがの僧侶も心細くなった。

思わず足を速めると、そのすぐ背後から、ひたひたひたひた、と何者かが付いてくる音が聞こえてくる。すぐに振り向くが誰もいない。

気のせいかと再び歩きだしたが、ひたひたひたひた、とまた聞こえるので、これは飢饉で死んだ者たちが救いを求めているのに違いない、と僧侶は思って、屋敷集落の庄屋の家へと急いだ。

庄屋の家で筆と紙を借りるとすぐに経文をしたため、再び大秋山村に戻ると闇に向かって経文を差し出した。すると、どこからともなく骨のような白い腕が伸びてきて、経文を受け取ると、また暗がりのなかへと消えてしまった。

僧侶はねんごろに経を唱えて、亡霊の成仏を祈ったという。

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