渋川海水浴場の魔の手(岡山県玉野市 渋川) | コワイハナシ47

渋川海水浴場の魔の手(岡山県玉野市 渋川)

渋川海水浴場の近くに小高い場所がある。王子が岳と呼ばれている。

七十年近く前、渋川海水浴場では不気味な噂が立った。

ここでは海難事故が多く、その水死体がこの浜に到着するので、人魂が見えたり足を引っ張られたりするというのだ。

ある日、海水浴場で泳いでいた女子高生が溺れそうになった。

慌てて友人が引っ張り上げると、足が着くような場所なのに、その女子高生が一向に立とうとしないのだ。

あっぷあっぷと、まさに溺れかけている。腕を握っている友人がこう言った。

「○○ちゃん、ここ足が立つけん、立って。泳ごうとするから浮かんのじゃ」

どんなに言っても、その友人は海の底に立てず、ブクブクと体が沈んでしまう。

「しっかりしいや!」

二人がかりでその溺れている彼女を海岸まで引きずり、横向けにして、背中を叩いた。どうやら溺れた時に相当な量の海水を飲んでしまい、意識も薄れていたようだった。地元の人たちや消防団も集まり介抱をしたとき、溺れていた友達の足を見て驚愕した。

グルグル巻きの海藻のようなものがあったのだ。それがしっかりと友人の足に絡みつき、強く締めつけていたのだ。女子高生の足はうっ血していた。

「これが○○ちゃんの足を引っ張ったんやろか?」

彼女を助けた女子高生達も納得した。その絡みついていたものを外していたら、

「キャー!」

と悲鳴が起こった。足に絡まっていたのは海藻でなく、明らかに人の長い髪の毛だった。毛根までついていたので、間違いないという。

その事件の後、地元の高校生たちが、その海岸にある松の木で涼んでいたら、座っているお尻が痛くなったという。

何か飛び出ている、と思って砂を見ると、黒い四角いものが見えた。何だろうと思って掘っていくと、位牌や塔婆らしいものが見つかった。

「うえ……」

慌てて掘り出した位牌などは砂に埋めたが、堀り出した高校生はその後、海で溺れてしまったという。

この辺りは昔お墓があった場所で、どうしたものか今は海岸となっている。

その跡地がわかるように、松を植えたのかもしれないし、お墓を潰すときに、松のそばに位牌などをわかるように埋めたのかもしれない。

その場所に、よく人魂が出るのはそのせいだそうだ。

また、モーターボートにも髪の毛が引っ掛かって溺死したり、釣り人が海に落ちて溺れて溺死したりと、水難事故が相次いだようで、今でもその溺死した者たちの霊が海岸沿いに現れて恨めしそうな顔で立っているという。

シェアする

フォローする