フローリングに浮き出るしみ(東京都渋谷区原宿) | コワイハナシ47

フローリングに浮き出るしみ(東京都渋谷区原宿)

Oさんという美容師が勤める原宿のS美容院であった話である。

ある時、美容室の一角に丸いしみが現れたという。

それも、フローリングの床に。

最初は、薬品を誰かがこぼしたのだろうと思ってはいたが、拭いても拭いても、このしみが落ちないのだ。それが日がたつにつれて大きく、はっきりした形になる。

やがて同心円状のしみとなって、広がりを止めた。

従業員は不思議がったが、実害が出たというわけでもないし、拭いたところで取れるでもないので、無視をきめこんだ。

ところがしみができはじめた頃から、従業員たちはそこで異様なものを感じるようになったのである。残業で夜中に仕事をしていると、誰かがそこにいる気配がするのだ。

Oさん自身は、はっきり見えるというのではないが、そこには、なにか黒い渦のようなものがぐるぐるとぐろを巻きながら存在しているように思えてならなかったという。

そのうち皆が気味悪がって、そのことがオーナーの耳に人った。

するとオーナーは、それを見て、「実はね……」とあることを語ったのだ。

このビルを建築する前、そこに大きな樹があったという。それを切り倒してビルを建てた。ちょうど、そのしみのある場所に、その樹があったのである。鉄筋の建物なので、もちろん根こそぎ掘り起こしてあるはずなのだが……。

「ああ……、なるほど」

しかし従業員は納得した。同心円状のしみの模様は、樹の年輪だったのである。

そのしみは、今もそこにあるそうだ。

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