公園にいた背の高い人(埼玉県) | コワイハナシ47

公園にいた背の高い人(埼玉県)

埼玉在住の、イラッとする釣り友達が再登場です。

嫌いな方、すみません。

会社員の彼は、休みの日には近所の公園に息子を釣れて、鯉のブッコミ釣りやフナを釣りに行くことがあります。

彼に言わせると、

「俺の行きつけだよ!」

だそうです。(#・∀・)イラッ!!

二十年くらい行って釣りしてるらしいです。

その公園というのが十五ヘクタールほどもあり、えらく広いのです。(調べました)

なにしろ釣りができる池が二・四ヘクタールあります。(調べました)

釣り人も多く、餌が豊富で、なかなかのサイズのマブナやヘラブナ、鯉が釣れるといっていました。ちなみに魚のお持ち帰りは禁止。だそうであります。

プチ動物園やアスレチック、バーベキュー場などもあり、子供たちは釣りに飽きたら、適当に遊んでるそうです。

いや、子供たち、本当は釣りが好きじゃないのでは……?

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ある日曜日。

小学5年生と1年生の二人の息子を連れ、車で20分のM山公園に行った友人。まずは子供たちの釣りの準備をしてやらなければいけない。いつものように、ノベ竿と棒ウキ、エサは赤虫でフナ釣りをさせてやった。

それから、自分の釣りの準備に取り掛かった。

彼の釣り歴で最も長いのが、小学校の頃からやっている鯉のぶっ込み釣りだ。吸込み針の仕掛けに秘密があるそうで、二十年以上前、釣り場でベテランのおじさんに教えてもらったとか。

以前、一メートル近くありそうなアオウオの写真を見せられたことがある。さすが荒川、懐が深い河だ。

穏やかな昼下がりに、子供たちと一緒に釣り……。

素晴らしい週末だ、と彼は思った。

釣り方を教えてやると、子供たちは尊敬の視線を父親に向けた。

いや、それはあくまで彼の願望で、子供たちはすぐに釣りに飽きて二人で遊びに行ってしまったそうだ。

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クーラーボックスに入れてきたノンアルコールのビールを開けた。ぐいっと飲んだ。

あー、いかくんでも持ってくればよかったかな。柿の種とか、次は持ってこよう…。

安定の悪い折りたたみの小さな椅子から転げ落ちないように、伸びをした。

空はまあまあ晴れていた。

夜から雨になるらしいが、家に着くまでは大丈夫だろう。

近くの芝生は、刈ったばかりらしく、緑の匂いがした。

釣りをしている後ろには、池をぐるりと囲む遊歩道が通っていた。

その後ろには、低い木がまばらに生えていて、ところどころに明るく陽光が落ちていた。

首を回してみた。

先週はパソコンを使う時間が長かったので、いつもより首が凝っているようだ。

首を回していたら、後ろに、誰かがいるのに気がついた。

首を回すふりをして、見直してみた。

背の高い人のようだった。

と言っても、185センチくらいのものだろう。

まばらに生えた木の隙間から友人を見ているようだった。

見覚えのない人だった。

「その人さ、不思議そうにこっち見てるんだよ。こう、首をかしげててさ」

ぶっこみ釣りというのは仕掛けを入れたら、あとはもうただひたすら待つ釣りだ。

ウキも使わないし、竿に手も掛けず、集中して待っている様子もないように見える。

そんな釣り方を珍しがっているのかな?

友人は思ったそうだ。

と言って、こちらからわざわざ話しかけることもないだろうし……。

竿先に付けた鈴が鳴るのを待ちながら、友人はコンビニで買った釣り漫画誌をパラパラとめくっていた。

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暗くなる前に、子供たちが戻ってきた。

同級生に会って、一緒に遊んできたという。

「よし、じゃあ、帰るか。漫々亭でラーメン食ってくか」

子どもたちは歓声をあげた。

父親の釣りに付き合うのは、これが目的だったらしい。

(ちなみに漫々亭というのは、埼玉南部の男子のソウルフード)

15分ほどで道具は片付け終わったが、その頃にはずいぶん暗くなっていた。子供たちには、足元に気をつけるように言い、三人で遊歩道を横切った。駐車場は、その向こうにあって、近道になるからだった。

もちろん、不思議そうに首をかしげていた男はいなくなっていた。

「お父さん、お花がある」

長男が驚いたように言った。

背の高い男が立っていた木の脇に、小さな花束が置いてあった。

どう見ても、お供えの花だった。

そういえば、背の高い男の足元は、手前の植え込みで隠れていたな……。

その時に知人は、この公園で首吊り自殺があったという新聞記事を読んだことを思い出した。

ぞっとした。

さっき、後ろに立っていた男の人って、幽霊かな?

背が高かったのは、ぶら下がっていたから?

不思議そうに首をかしげていたのは、首に縄がかかって曲がっていたから…?

……目が合わなくてよかった~!

いい年して一人でトイレに行けないんじゃ、父親の威厳丸つぶれだもんな~!

「お父さん?どした?」

手をつないでいた次男が不安そうにつぶやいた。

「あ、なんでもない!なんでもないよ~!お父さん、ジャージャー麺にしようかな~」

「ぼく焼きそば!」

「おれ、スタミナラーメンと餃子も食べたい!」

「よしよし、おばあちゃんにも餃子のおみやげ買っていこうな」

友人は努めて明るく言った。

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■補足(調べました)

埼玉県上尾市の丸山公園では2008年の12月に首を吊って自殺している男性がいました。身元不明の行旅死亡人で身長は167センチ、年齢30~40歳、痩せ型、遊具の手すりに自分のズボンをかけて首を吊ったそうです。

所持品はライター1個、ボールペン1本。

情報などをお寄せください…と、地元警察のサイトに掲載されています。

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