水を一杯 夜中の2時のおばあさん(兵庫県尼崎市) | コワイハナシ47

水を一杯 夜中の2時のおばあさん(兵庫県尼崎市)

尼崎市内のとある商店街。そこの商店は一階が店で二階が住居なので、裏は二階の通路で各商店がつながっている造りである。

夜中、Y君が二階の部屋で勉強していると、コンコン、コンコンと台所の窓を叩たたく音がする。

(あれ、誰かいな?)

と見ると、台所の窓が勝手に開いてヌッと手が出た。

「すみません、水を一杯いただけませんか……」と、外からおばあさんの声がする。

「ああ、いいですよ」

Y君は台所へ行ってコップに水をつぎ、窓から出ている手に渡した。

すると、スッとその手が引っ込んで、

「ありがとうございました」

と言って、その手がまた現れて空になったコップを返してくる。

「はぁ、どうも……」

とY君はコップを受け取った。その時、ちらりとおばあさんの白髪の頭が見えた。

(はて、このおばあさんは誰だ?)と、その時はじめてY君は思った。

ここは、商店街の裏の二階で、外部の者がここに来るには居住者専用の階段を上ってこなければならない。そしてここからは、この商店街のどこかの家にしか行くことができない。したがって、ここは通りすがりの人が行き来するところではないし、近所にはあんなおばあさんはいない。ましてや今は、夜中の二時である。ちょっと奇妙に思えてきたので、

「ちょっとおばあさん」と勝手口のドアを開けて外を見たが、人影はなかったのだ。

階段は、はるか向こうにある。コップを受け取ってから五、六秒しかたっていないから、おばあさんはまだその通路を歩いていなければならないはずなのに。

そのおばあさんを見かけることは以後まったくない。

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