お遍路さん チリーン(新潟県) | コワイハナシ47

お遍路さん チリーン(新潟県)

Sさんという女性は新潟県の出身である。

彼女が幼い頃、こんなことがあったという。

幼なじみの家の前に、一本の小道があった。この小道は田んぼの畦道へ続く道で、それ以外別にどこへ行けるというわけでもない。

ある夏の黄昏時、この道を子連れのお遍路さんが通った。チリーンと鈴をならして、歩いている。

翌日も同じ時刻、同じ子連れのお遍路さんが通る。そして翌日も同じ時刻に……。

その現れ方が妙なのだそうだ。

村の人たちが田んぼで作業をしていると、チリーンと鈴の音がする。ふっと顔を上げるとそのお遍路さんが歩いていて、目を離すともう消えている。

この子連れがどこから来て、どこへ行くのかさっぱりわからない。この小道は県道から分かれているが、県道でこの子連れを見た者はいないし、この先どこへ行ったかを見た者もいない。

気がつくと幼なじみの家の前あたりを歩いていて、そこ以外で目撃されたことはまったくなかったのだそうだ。

幼なじみの男の子は一度、家の前を通るこのお遍路さんに声をかけようとしたところ、

「こら、話しかけるんじゃない」と、家の者にきつく叱られたという。

言えることは、このお遍路さんは地元の者ではないということ。

子供たちの間では、あれは誰なんだろうと随分話題になっていたそうだ。

ここは四十軒ほどの小さな村なので、よそから来た人間には敏感なはずなのに、この子連れのお遍路さんについては、大人たちはまったくなにも言わなかったし、子供たちがその話をしていると、大人たちにもの凄すごい顔で叱られたのだそうだ。

確か、そのお遍路さんを見たのはその夏だけだったとSさんは記憶しているが、一体あの子連れのお遍路さんは、何者で、どこへ行こうとしていたのか、いまだにさっぱりわからないままであるという。

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