勘違い その二 心中(北海道札幌市) | コワイハナシ47

勘違い その二 心中(北海道札幌市)

勘違いかどうか分からないが、似たような話を聞いた。

ソープ嬢のK奈さんは東京に来る前、札幌のススキノで働いていたことがある。

「その頃はデリヘルで働いてたの。で、よく呼んでくれたオジさんの話なんだけど」

そのオジさんと呼ばれている五十代の男性は、多いときで週三回もK奈さんを自宅に呼んでいた。

しかもHする時間はいつも短く、変態プレイも要求しない。そればかりか、余った時間にデパ地下で買ってきたというオードブルを出し、シャンパンまで開けてくれる。

そして帰りにはちょっとしたプレゼントもよく貰っていたと、K奈さんは話してくれた。

彼女の客の中で一番の上客だったそうだ。

「寂しかったんだよねえ、そのオジさん。仲良くなる前から分かってた。だって家の中には、いっぱい〝未練〟が残ってたもん」

オジさんの自宅は一軒家だった。リビングには奥さんと娘さんと思われる家族の写真が、たくさん飾られていたという。

「あー、逃げられたのかって、ピンときたね。アタシも親に捨てられた口だから、すぐ分かったわ」

そんなK奈さんと知り合ってから、オジさんは徐々に変わっていったらしい。

はじめは暗かった表情も次第に明るくなり、K奈さんと仲良くなっていくうちに、片付けるようにもなってきた。

捨てられた者同士、馬が合ったんじゃないかと彼女は話していた。

「ある日、近くにお化け屋敷が出来て。面白そうだから、たまには外で会おうよって誘ってみたの。いや、惚れてたんじゃないよ。いつも良くしてくれてるしさ、たまにはどうかなって思っただけ」

でも、オジさんは困ったような顔をして「彼氏と行きなさい」と、優しく断ってきた。まさか断られると思ってなかったK奈さんは、ちょっとすねてみせたが、最後まで行くとは言わなかったそうだ。

「でもさ、その日の別れ際に、オジさんが気になること言ったの。『家に呼ぶの、これで最後になるかもしれない』って。そう言われちゃうとさ、奥さん戻ってくるのかなって思うじゃない? 普通は。だから良かったねって、笑顔でバイバイした」

それから二日後。

K奈さんは同じ店の子と、くだんのお化け屋敷に行った。とても人気があり、会場前には長い列が出来ていたという。

K奈さんも順番を待って列に並んでいると、前方にオジさんの姿が見えた。奥さんと思われる女性も一緒だった。

「なーんだ、やっぱそうなんだって。上手くいって元サヤかあって。嬉しかったけど、何か寂しくなちゃってさ……」

K奈さんは友達に具合が悪くなったと嘘をつき、その場を離れた。

結局、お化け屋敷には入らなかったそうだ。

だが、家に帰ったK奈さんは驚愕する。

テレビのニュースでオジさんが無理心中を図り、死亡したと知ったからだ。

なかなか帰ってこない奥さんを心配した娘さんが実家に帰ってみると、リビングには倒れていた奥さんと、そのすぐ傍で首を吊っているオジさんを見つけたと、ニュースで伝えられていたそうだ。

「しかも死んだのは、その前の日だって。じゃあ、私の見たオジさんって幽霊だったの?ってビックリしちゃって……見間違いだったのかもしれないけど」

オジさんは右足首に障害があり、引きずって歩いていた。

そしてK奈さんが、お化け屋敷で見かけたオジさんも、右足を引きずっていたという。(了)

関連話
勘違い その一 殺人(大阪府)

シェアする

フォローする