実家に住むもの(大阪市) | コワイハナシ47

実家に住むもの(大阪市)

Y子さんの実家は大阪市内にある。大変に古い家で、空襲であたりが焼け野原になった時も、この家だけはポツンと焼け残ったのだそうだ。

Y子さんにはひとつ年上の姉がいて、幼い頃はいつも一緒に遊んだり寝たりしていたという。

物心ついた頃からこの家にひとりでいることが怖かったからだ。

古い記憶ではこんなことがあったらしい。

家に、和服姿の見知らぬ男女がいた。

真っ昼間の、二階の廊下に彼らは現れる。白い着物を着ている。それが階段をスーッと滑るように下りてきて、フッと向かいの壁の中に消える。

「わっ」と泣いたのが四歳の頃、最初の体験だったそうだ。

この白い和服姿の男女が、たまに廊下を歩くのを見る。姉もやはりそれを見ているようで、「怖いっ」とふたり肩寄せあっていたという。

家には両親と祖父母がいたが、「こんな怖いもの見た」と言っても一切受けつけてくれなかったそうだ。

ある日、姉が「うちらの他にもうひとり女の子が住んどるよね」と言った。白い和服姿の男女は大人である。子供など見たことがない。Y子さんは「えっ、ほんま?」と驚いた。「私よりちょっと小さい女の子がいるよ」と姉は言う。そんなことを話しているうちにだんだん怖くなってきたので、ふたりとも、わっと祖母のいる階下の部屋へ逃げ込もうとした。姉はどんどん廊下の先を走っているが、Y子さんの背後からもパタパタと足音がする。

「待ってーやー」と姉に向かって声をあげると、小さな女の子の声で「待ってーやー」という声が耳許にした。

祖母の部屋に逃げ込んだが、以後、この女の子もよく見るようになったのである。おかっぱ頭の清楚な顔をした四、五歳くらいの女の子。それが、襖の間からこちらを見ていたりする。しかしそれは、どうもY子さんではなく姉を慕っているようだったという。

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