三鷹の上空(東京都三鷹市) | コワイハナシ47

三鷹の上空(東京都三鷹市)

私の友人にM君という男がいる。

十年ほど前のことだが、M君が昼休みに、三鷹駅前の立ち食いそば屋に入ろうと、店の外にある食券の自動販売機にお金を入れながら、ふと空を見た。するとピラミッドを細長くしたような、銀色に光った円錐形の物体が浮かんでいた。

空なので、それを見比べるものがなく、はっきりとした大きさはわからない。

それでもかなり大きい物体とは推測できる。これがゆっくり、くるりくるりと回転しているのだ。回転する物体の底面がわずかに見えて、それは円錐ではなく、四角錐であることがわかった。

昼間のこと。太陽が真上にあるが、その太陽の光を受けて、M君の方を向いた面はキラリと白く光っては隠れ、また次の面が姿を現し、キラリと光る。

M君は、手に握りしめていたお金を自動販売機にチャリン、チャリンと入れながら「すげーっ!」と見とれていた。すると、ジャラジャラジャラッと自動販売機のお金が戻ってきた。あっと正気に戻って「あっ、俺、何を食おうと思ったんだっけ」と思い直して、ふたたびお金を入れて、食券のボタンを押した。

食券を手にとって(あれはまだ浮いているのかな?)と空を見ると、まだ浮いている!

(こらすごい、こらすごい)と周りを見回すが、空を見上げている者などひとりもいない。

(すごい、すごい)

興奮しながらM君はそば屋に入っててんぷらそばを注文し、窓寄りに立って空を見るとまだくるりくるりと回転している。

横目にそれを見ながらあわててそばをかっ食らって、ドンブリを置いた。

(みんなに言わなきゃ)と思って、暖簾をパッとめくって外に出ると、それは消えていたという。

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