カーテンのうしろ(広島県) | コワイハナシ47

カーテンのうしろ(広島県)

同じ漫才師のM君の体験である。

ある年の八月のこと。広島での仕事が入って市内のホテルに泊まった。

ベッドに寝ころがってテレビを見ていると、窓のカーテンがぶわっと波を打った。

(窓が開いてる?)と一瞬思ったが、ここはホテルの七階。窓が開くはずがない。

だがひょっとして、とカーテンの向こうを見てみるが、やっぱり開くような窓ではないし、風の通るような場所もない。

気のせいか?と思って、またベッドに戻ってテレビを見る。

ぶわっと、またカーテンが波打った。

(どうしてだ?)と思ってカーテンを見る。

と、焦げくさい臭いがぷんと鼻にきた。そしてまたカーテンがぶわっぶわっと二回波立った。

「なっ!」とM君は声をあげた。

動きの止まったカーテンの裾すそに黒く焼けただれた手が、のそっと現れたかと思うと、すぐカーテンの陰に隠れた。

今なにを見たんだ?としばらく茫ぼう然ぜんとしていたが、なんとなく、もしかしたら、とM君はわかった気がした。

その部屋の臭いは朝まで消えずに残ったという。

八月六日。そして近くに平和公園があった。

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