だまってろ!(東京都豊島区池袋) | コワイハナシ47

だまってろ!(東京都豊島区池袋)

ある劇団員たちの体験である。

この劇団は、毎回テントを張って芝居を打つ。その時は、東京池袋のサンシャインの脇の広場にテントを張った。何日間かの興行を行っていたという。

夜、何人かの劇団員がテント番といって、テントの中で寝るそうだ。

ある夜、その劇団員が寝ていると、何か妙な気配がテントに漂ったような気がして、ふっと目覚めた。するとテントの布をめくって誰かが入ってくる。

(誰?)と思うが、身体がまったく動かない。ただ目だけは自由が利くので、気配のするあたりを見てみるが、人影はない。ただ気配は相変わらず続いている。視線を動かした。

その途端、全身がゾワッと震えた。

緑色をした小人が十五、六人、テントの中に入ってきている。その身長は、三十センチくらいのものか。ざわざわざわっとその集団がやってきて、寝ている劇団員たちの顔を覗のぞき込んだりしている。その中の二、三人の小人がこちらを見た。そしてとっとっとっと近づいてくる。

あわてて彼は寝たふりをしたそうだ。つぶった目の前に気配が張りついた。じっとその小人たちが、顔を近づけて覗き込んでいるという気配。

異様な空気が去った気がしたので、そっと目を開けてあたりを見回した。

しかし、小人たちはまだいた。ロープにぶらさがったり、ブランコのようにして遊んだり、支柱にスルスルッと登ったり、寝ている団員の横で踊ったりして騒いでいる。

その間、これを目撃している彼の身体はいくら動かそうとしても、ピクリとも動かなかったそうだ。

やがて小人たちは、そんなことに飽きてしまったのか、テントを出て行った。不気味なほどの静寂が訪れた途端、猛烈な睡魔に襲われて眠ってしまった。

朝、みんなと作業していると、ふっと昨夜ゆうべの小人のことを思い出した。夢だったのかどうかはっきりしない。それで仲間に話しかけた。

「実は、昨日の夜さ、変なもの……」

「やめろその話!緑の小人だろ。気持ち悪いからやめてくれ!」と怒鳴られた。

シェアする

フォローする