怪談之怪(東京都台東区谷中) | コワイハナシ47

怪談之怪(東京都台東区谷中)

「怪談之怪」という、怪談サロンのような会を結成した。

発起人は作家の京極夏彦さん、『幻想文学』編集長の東雅夫さん、そして『新耳袋』の著者、つまり我々ふたりの計四人。このメンバーが怪談を愛好する作家やタレント、研究家や映像作家らを招いて、怪談を語り、聞くという趣向なのである。

その二回目。

この時は、四人の他に作家のRさん、落語家のK師匠もお招きして、東京は谷中の旅館にて三時間にわたって怪談が披露された。

テレビカメラが入った。とはいっても私がホストを務めるCS衛星放送の番組で、大層なテレビクルーが入るわけではない。カメラは二台、スタッフもふたりだけという小ぢんまりとした撮影であった。

会も無事終了し、ディレクターのNさんは大阪へ帰って編集作業をはじめた。

「妙なことがあった」とそのNさんから、後に電話をもらった。

会の一番最初には、私自身が京都で体験した話を披露した。ここでは詳しくは書けないが、私を含めたテレビクルーが、女性の幽霊が住みついているというマンションに行こうとして、行けなかったという体験。この時、我々の動向の詳細をその幽霊が知っていて、妨害したという後味の悪い話だ。

Nさんがビデオ編集していると、「その幽霊マンションがね……」と私が言っている時、カクッ、カクッと画面が妙な揺れ方をした。そしてふっと画面が薄暗くなる。

(あれ、何で?)と、何度再生してもそこだけ画面が揺れて、薄暗くなる。

カメラは三脚使用で、彼自身が担当している。こんなミスがあるはずがない。

もう一台のカメラに入っていたビデオテープをチェックしてみた。

やはり私が「その幽霊マンションがね……」と言う場面になると、やはりカクッ、カクッと画面が揺れて、こちらは音声がジャリジャリ、ジャリジャリと雑音を放つ。そしてその幽霊マンション以外のエピソードになると、パッと正常に戻るというのだ。

このカメラも三脚使用で、これは人をつけずにただ部屋の隅に据え置きにしていたデジタルカメラ。つまりこちらのカメラも動くはずはない。

もう一カ所、その女性に関する因縁めいた話を私がふたたびしはじめた時、またもや画面が揺れて、音声にノイズがジャリジャリと入る。一台は映像がダメ、もう一台は音声がダメという事態であったらしい。

同時に二台のカメラがおかしくなったということは、電気系統が同時に異常をきたしたということになる。しかし一台はコンセントから、もう一台はバッテリー電源。つまり電気系統は別々なので、それは考えられない。

デジタル編集での修復に四時間かけて、なんとかごまかしたとNさんはいうが、その間じゅう編集機の調子がおかしかったらしい。本編集になると「その幽霊マンションがね……」の直前で、プチッと作動しなくなったそうだ。

Nさんは「実は撮影日の前にな、モノがモノやから、前の晩に神棚に御お神酒みきを供えて、風呂で禊ぎをしたんや。そやからあれで済んだんや。よかったと思うことや」と言った。

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