ニシオカケンゴ(大阪府) | コワイハナシ47

ニシオカケンゴ(大阪府)

もう十何年も前のこと。

ある夏の真夜中、A子さん夫婦が寝ていると、ふっとA子さんが目を覚ました。

誰かに起こされたという感じだったという。

部屋の明かりは消えていて真っ暗だったが、襖の向こうに誰かがいるのがわかる。

襖越しに向こうの様子が見えるわけはないのに、それがはっきりとわかるのだ。

作業着を着た中年の男。片膝をついて、頭を下げている。

「誰?」

と声をかけると「ニシオカケンゴ」と名乗った。声がしたのではない。脳裏にそのイメージが浮かんだのだ。

「何しに来たの?」と言うと「お盆やから、Yちゃんを迎えに来た」と、頭を垂れたまま言う。Yというのは、A子さんの隣で寝ているご主人の名前だ。

「そんなんウチ、困る。勝手なことせんとって」

と言うが、「絶対連れていく」ときかない。

「そんなんウチが行かせへん。あんたなんか関係ないやろ」としばらくは激しくその男に罵声を浴びせ続けたというが、早朝になると、その男の気配も消えた。

朝になって「あんた、昨夜ゆうべ、ニシオカケンゴいう人が来たよ」とご主人に言うと、「お前、何でニシオカ知ってるんだ」と目を丸くして驚いた。それは何年か前、同じ作業場で落石にあって死んだ仕事仲間の名前だという。

「あいつ、来たのか」と言ったご主人は、その週の日曜日、はじめてニシオカさんの墓参りをしたという。

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