【長編】タクシーにまつわる3つの怪(岩手県) | コワイハナシ47

【長編】タクシーにまつわる3つの怪(岩手県)

タクシー その一(岩手県)

体験者から場所を明かさないという条件で、書かせてもらうことになった。

Nさんは、去年からここ○○市に単身赴任で引っ越してきた。

「まさか、こんなタイミングで辞令が出るとは思ってませんでした」

とても不満そうな表情を浮かべるNさんだが、よく聞くとそれはもっともな話だった。

彼は今、二十五歳で新婚さんなのだ。

籍を入れて半年もしない内に、○○支店への転勤命令が出た。もちろん、最初はかなりの難色を示したNさんだが、ここで断れば出世に影響が出てしまう。会社を辞めるという選択肢もあったのだが、新婚直後に無職というのも世間体が悪いし、そもそもすぐに転職先が見つかる保証もない。

不承不承、その辞令を受け入れることとなった。

会社が用意してくれた物件は、かなり良いものであった。築浅で、専有面積も広く、間取りも良い。

Nさんは、すぐに○○市に住み慣れていった。

転勤先の職場の人間関係も良好で、新婚の妻と離れて暮らす以外には何の問題もなかったそうだ。

その妻も、週末になれば新幹線で会いに来てくれるし、転勤が長引くようなら一緒に住もうかという話にもなっていった。

とは言え、妻にも生活があり両親との付き合いもあるので、毎週来てくれるわけでもない。

加えて、交通費が非常にかかるということが最大の問題で、単身赴任から三ヶ月もしないうちに、隔週の逢瀬となってしまった。

結局、週末を独りで過ごさなければならない時は、サイクリングに出掛けるのがNさんの趣味になってしまった。

ある土曜日のことだ。

Nさんは、妻が今週来ないということで△△市までサイクリングに出た。

晩春らしく、埃っぽい風の吹く午後のことだった。

しばらく走っていると、突然、目の前に猫が飛び出してきた。

とっさにブレーキをかけ、ハンドルを切って避けようとしたが、バランスを大きく崩して転んでしまったそうだ。

Nさんは、サポーターやヘルメットのお陰で大怪我をすることはなかったが、腕や脚のところどころを擦り剥いてしまっていた。

それは気にするほど大きな問題ではない。そのうち治る。

ただ、Nさんが途方に暮れてしまったのは、愛車クロスバイクのホイールがひしゃげてしまって、走れる状態ではなくなってしまっていたからだ。

「弱ったなぁ……」

思わず溜息混じりに、独り言が口を突いて出た。

単身赴任なので、電話して迎えに来てくれる家族はいない。土曜の休みに同僚に電話をかけるのも気がひける。

どうしたものかと悩んでいるNさんの目に、一台のタクシーが映った。

路上にタクシーが一台停まっている。

そのタクシーは、社名表示灯が赤く点滅を繰り返していた。

タクシーの屋根についている行燈は、緊急事に赤色で明滅する。これは、タクシー強盗などが起きたとき、他の車両の運転手や、車外にいる通行人に警察へ通報して欲しいという合図だ。

Nさんは、タクシーの中で何か起きているかも知れない。最悪、刃物を持った強盗が飛び出てくるかも知れないと、用心深くタクシーに近寄った。

しかし、タクシーの中には強盗どころか運転手の姿もない。

しばらくどうしたものかと思案したが、これといった名案も浮かばないので、Nさんはスマートフォンを取り出し、タクシーの窓に書かれている電話番号に連絡してみることにした。

スマートフォンの画面に、番号を入れて通話ボタンを押した、その時だ。

「何か、ご用ですか?」

と、突然タクシーの反対側から声を掛けられた。

吃驚したNさんは、相手を呼んでいるスマートフォンを一度中断して、声の方へ視線を向けた。

そこに立っていたのは、五十代くらいの男性だった。

聞くと、自分はこのタクシーの運転手で、近くの公衆トイレで用を足していたという。

Nさんは、運転手に行燈が明滅していたこと、そして自分がそれに気が付いて様子を見にきたことを伝えた。

「あれ? 降りるときにどっか触っちゃったかな?」

そう言いながら、運転席をガサゴソとさぐると、行燈の明滅が止まった。

「いやぁ、いらん心配させてしまってすみません」

Nさんが、たいしたことではないと返そうとする直前、

「あれ? サイクリング……、ですよね?」

運転手が、不思議そうな顔で問いかけてきた。

Nさんは、これまでの経緯と、近くに壊れてしまったクロスバイクを置いてあると説明した。

すると、運転手が自宅近くまで送ってくれるという。

またとない申し出に、Nさんは二つ返事でお願いしたそうだ。

トランクに壊れたクロスバイクを乗せて、Nさんが後部座席に乗るとタクシーは走り出した。

しばらくして、Nさんの借りているマンションの前にタクシーが停まった。

運転手に礼を言う。財布を取ってくるから待っていて欲しいと言ったのだが、気にしないで、と固辞されてしまった。

改めて礼を言うと、Nさんは部屋に戻ってきた。

その夜、妻に今日あった出来事を面白おかしく聞かせたあと、Nさんは眠りについた。

翌日の日曜日。

Nさんは、さて今日は何をしようと考えていたときだ。

ふと、あの運転手のことが頭に浮かんだ。

タダで自宅まで送ってくれたのは良いが、そのことで上司から怒られていないか、始末書なんて書かされていたりしないかと心配になったそうだ。

どうにかして、タクシー会社そのものにお礼を言っておいた方が良いのではないかと、Nさんは考え始めてしまった。

「あっ」

そういえば、あのとき、タクシー会社に電話を掛けようとしていたことを思い出した。

スマートフォンの履歴を見ると、たしかに発信の履歴にタクシー会社の番号が残っている。

さっそく、その番号に発信すると、

『おかけになった電話番号は現在使われておりません』

そんなわけないと、何度か電話をかけたが、結果は変わらなかった。

インターネットで調べてみると、それは、何年も前に倒産したタクシー会社の電話番号であることがわかった。

Nさんは、不思議な体験をしたものだ、と深く気にしなかったという。

週明けに、この話をNさんは同僚たちに、妻に語ったときのように面白おかしく語った。

不思議なこともあるものだと、一同、そのときはそれで終わった。

何週間か経った、ある土曜日。

Nさんは同僚のAさん宅へ遊びに来ていた。昼食に呼ばれたのだ。

その後、近くの酒屋まで買い物に、ということでAさんと二人で出かけることになった。

しばらく歩いていると、あのタクシー運転手に会った路地に出た。

NさんがAさんに、あの話の現場はここだと言うと、Aさんが行く先を指差した。

なんだろうと、Nさんがその指の先に視線を向けると、そこには、一台のタクシーが社名表示灯を赤く点滅させて停まっていた。

まさか、こんな偶然などありはしないと思ったが、それでも万が一のこと考えて、Nさんが警戒しながらタクシーに近寄って行った。

Aさんは、それを注視しながら、いつでも警察に通報できるようにスマートフォンの通話ボタンに指をかけていた。

Nさんが、タクシーの近くにたどり着くと、

「何か、ご用ですか?」

あの日とまったく同じ調子で声をかけられた。

驚いて、声の聞こえた方を見ると、そこにはあの日会ったタクシーの運転手が立っていた。

Nさんは、

「おひさしぶりです。またトイレですか?」

と声をかけたのだが、運転手は不審な顔をするばかりで、Nさんをまったく覚えていないようだった。

「いや……、その……」

と、どうにか説明するNさんだったが、まったく理解してもらえず、タクシーはそのまま走り去ってしまった。

Nさんは、Aさんのもとに戻ると、

「いやぁ、なんか完全に忘れられちゃってるようで」

と照れ隠しに笑って見せたが、Aさんの顔は真っ青だったという。

その後、酒屋に行かず、Aさんに言われてAさん宅に行ったNさんは、Aさんの車に乗せられ、ある場所へ連れていかれた。

「着いたぞ」

そう言ってAさんが指さす先には廃墟があった。

その廃墟の入り口には、看板が色褪せて立っていた。

それは、あのタクシーの社名表示灯と同じマークが描かれているのが、辛うじてわかったそうだ。

それを見ながら、Aさんが運転席から説明をしてくれた。

○○年前。

そのタクシー会社のタクシー運転手が、あの路地で強盗に遭い命を落としたこと。

それと関係あるかわからないが、その後、すぐにタクシー会社が倒産してしまったこと。

「よく自殺した人が地縛霊になって、その場所で自殺を繰り返すって言うじゃないですか。もしかしたら、あのタクシー運転手も死んだことが理解できてなくって、あの場所で留まっちゃってるんじゃないですかね」

ただ、とNさんは続ける。

「じゃあ、なぜ行燈を明滅させ続けているのか考えたんです。たぶん、まだあのタクシー運転手は誰かに助けを求め続けているんじゃないかな、と」

Nさんは、今は奥さんと都内に戻って幸せに暮らしている。

タクシー その二(岩手県盛岡市)

Mさんは、神奈川県横浜市にあるIT企業に勤めている。

彼女は、三ヶ月に一度、一週間の出張で盛岡駅前にあるビジネスホテルに宿泊する。

そこから、車で三十分程度行ったところにあるデータセンターで作業をするためだという。

ある日、Mさんはいつものようにデータセンターで作業を終え、受け付けの人にタクシーを呼んでもらった。

しばらくするとタクシーが入り口に停車して、運転手が降りてくる。

「Mさんは、いますか?」

その問いに手を上げて答えるMさんを、運転手はタクシーに乗るように促す。

Mさんが助手席の後ろの後部座席に乗ると、ドアが閉まり、タクシーが走り出した。

「お客さん、ずいぶん遅くまで仕事してるんだねぇ」

ハンドルを握り、前を向いたまま運転手が話しかけてきた。

深夜と言って良い時間である。

おそらく、自分の眠気覚ましにMさんを話し相手にしようというつもりらしい。

「コンピューター関係の仕事してるんで、よくあるんですよ、遅くまで拘束されることって」

利用されているとわかっていても、Mさんもそこで眠るわけにはいかなかったので、話に乗ることにした。

そう。Mさんは、タクシーの中で眠れないのだそうだ。

それは、二年前のことが原因だという。

ある晩秋のことだった。

データセンターで作業を終えた彼女は、タクシーに乗って宿泊先であるビジネスホテルに向かっていた。

走り出して少し経ったとき、

「今夜は冷えますね」

タクシーの運転手が話しかけてきた。

「そうですね」

Mさんが返す。しかし、仕事が終わった直後の彼女は疲れていたので、会話を続ける気にはならなかった。

「鍋の季節ですね。お客さん、せんべい汁、もう食べましたか?」

そんな彼女のことなどお構いなしに、タクシーの運転手は話し続けるつもりのようだった。

「あの、すみません。ちょっと疲れてるんで……」

密室である。単刀直入に話したくないとは言いにくい。場の空気を悪いものにはしたくなかった彼女は、察して欲しいという気持ちで、そう言葉を濁した。

すると、

「あ、ごめんなさい。気が付きませんでした」

という台詞のあと、タクシーの運転手は黙り込んだ。

少々気まずい空気になったものの、極端なことを言えば、二度会うことなど滅多にない相手だ。

気が利かないな、と思い、助手席の前に取り付けられているネームプレートに視線を向ける。

そこには、○○年まで有効、昭和○○年○○月○○日生まれ……、要はタクシーの運転手の個人情報が記載されている。

運転手は六十代後半の男性だった。

Mさんは、すぐにネームプレートに興味を失くすと、スマートフォンをポケットから取り出して、自分宛てのメールをチェックしはじめた。

と、その時だ。

「お、最新の機種ですね。どうですか、使い心地は?」

と運転手が話しかけてきた。

疲れているから話しかけるなとお願いしてから一分も経っていない。

Mさんは不機嫌になった。

しかし、それも一瞬のことだった。

それは、話しかけてきた声が明らかに若者の声だったからだ。

驚いて顔を上げる。肩越しに見える運転手の横顔はどう見ても自分と同じ二十代にしか見えなかった。

(え? こんな人だっけ?)

「えぇ、まぁ」

疑問に思いながらも、曖昧な答えを返す。

返しながらも、先ほどのネームプレートに目をやると、

○○年まで有効、平成△△年△△月△△日生まれ……、と書かれている。

さっき見たばかりだ。記憶違いなど起こるはずもない。

そもそも、そのネームプレートに張り付けられた運転手の顔写真は、初老の男性の顔から、似ても似つかない若者に変わっていた。

おかしい。

異様な状況にMさんは手に持っていたスマートフォンを落としてしまった。しかし、それを拾うことができない。あまりのことに、身体が思うように動かせなくなっていた。

「スマホ、落としましたよ?」

後ろを振り返らずに声を掛けてくる運転手に、

「あ……、あぁ。そ、うです、ね」

とつまりながらも返事をする。そこで、動きが固くなりながらも、どうにかスマートフォンを拾い上げた。

その間もベラベラとしゃべる運転手だったが、怯えるMさんにはまったく届いていなかった。

「着きましたよ」

Mさんが動けるようになったのは、この瞬間だった。

車窓の外には、よく見知ったビジネスホテルのエントランスが見える。

一気に身体の力が抜ける感覚に、溜息をつく。

財布を取り出して、支払いを済ませて領収書をもらうと、ドアが開かれてMさんはやっとタクシーから降りることができた。

降りる直前。

Mさんが、あのネームプレートに目をやると、そこには有効期限も生年月日も名前も書いていなかった。

それどころか、顔写真は黒く塗りつぶされたようになっていて、ひどく古い印象を受けた。

(えっ?)

と思って運転手の顔に目をやると、そこには黒いモヤのような人影が座っていた。

そこでMさんはタクシーを降りた。

ドアが閉まり、タクシーが走り出す。

茫然とMさんが立ち尽くしていた。

翌日も、Mさんは早朝からタクシーでデータセンターに出勤していた。

昨日のように深夜になってやっと解放され、受け付けでタクシーを呼んでもらう。

ほどなくして、Mさんを呼びに来たタクシーの運転手に付いてタクシーに乗り、目的地を伝えた。

昨晩の厭な記憶がよみがえるが、ネームプレートを見ると、昨日の運転手とはまったくの別人である。

(昨日とは違う人だ)

それは、自分より少し上の年齢に見える男性だったそうだ。

Mさんはすぐに疲れていると伝えて、スマートフォンでメールをチェックしはじめた。

そこからどれくらいの時間が経ったか。

「鍋の季節ですね。お客さん、せんべい汁、もう食べましたか?」

昨晩と同じ調子、同じ口調で、同じ質問を突然された。

その瞬間。

吃驚して、身体中の筋肉が固まるのを感じたそうだ。

なぜなら、女性の声で話しかけられたから。

肩越しに見るその横顔はたしかに女性だ。後ろから見える髪型も、男性では滅多にいないタイプだ。いや、おそらくいないであろう。

この瞬間、Mさんは全身から冷や汗が吹き出る気持ち悪さを味わったそうだ。

そんなMさんを尻目に、運転手は会話を、いや、一方的にしゃべり続けた。

郷土料理のこと、名産品のこと、天気のこと、観光地のこと。

内容は、完全に観光者向けの話だったという。

だが、Mさんは何一つとして返答できなかった。

いや、できなかった。それは、全身の震えで言葉を発しようとしてもできなかったこともあるが、何か返答して会話を成立させようものなら、どこかとんでもない所へ連れ去られてしまいやしないかと、不安になったからだった。

「お客さん、着きましたよ」

あまりに運転手を注視していたからか、いつの間にか、ビジネスホテルの前にタクシーがつけられていた。

(もしかして)

と思って、ネームプレートを見ると、昨晩のように顔写真は黒く塗りつぶされていた。それは、まるで幼児がクレヨンでいたずらに塗ったように見えたという。

一秒でも車内に居たくないと思い、

「お釣りはいいから」

と、毎日払っていた金額よりも多めにお金を渡すと、タクシーを降りた。

去り行くタクシーの運転手の顔を見ると、昨晩と同じように、真っ黒いモヤのような人影になっていた。

「あれは何だったのか。それはわかりません。ただ……」

とMさんは、続ける。

「担当を外れた今でも、別の同僚に同じ話を聞くことがあるんです。今でも、居るみたいですね」

Mさんは、もう岩手県に行くことはないそうだ。

タクシー その三(岩手県 四十四田ダム)

この本の入稿直前で舞い込んできた話がある。

Aさんが、出張で盛岡市に行った時のことだそうだ。

彼の勤める会社は、滅多に出張がない。

しかし、いざ出張となれば超過密スケジュールな上に、ビジネスホテルに帰ってからもノートパソコンを開いて、その日のうちに報告書をメールで上司に提出しなければならない。睡眠時間は、二時間も取れれば良い方で、食事もせっかくの出張にもかかわらず、近くのコンビニで買ってきたインスタントラーメンを啜るしかないので、出張を命じられた場合、それはそれは気が向かないのだという。

最後の訪問先で商談を終え、Aさんは道路でタクシーを待っていた。

腕時計に視線を落とすと、すでに二十三時を回っている。

(今日もカップ麺か……)

と思いながら、ため息をつく。

盛岡に来てから十日近くが経つが、観光らしいことは一つもできていない。

(明日は休みだけど、どうしようか……)

そんなことを考えていると、暗闇の向こうからヘッドライトを点けたタクシーが一台やって来ると、Aさんの目の前に停まった。

ドアが開けられたので、タクシーを呼んだのは自分であることを告げ、シートに乗り込む。

盛岡駅前のビジネスホテルの名前を言うと、タクシーが走り出した。

連日の疲れもあって、すぐにAさんは寝てしまったそうだ。

「お客さん、着いたよ!」という声で起きる。

いつの間にか寝ていたのだろう。Aさんは涎を拭きながら、辺りを見回した。

運転手が嘘を言っていないなら、ビジネスホテルの明かりが見えるはず。

しかし、そこは、見知らぬ場所。

真っ暗な闇の中、タクシーのヘッドライトだけが光っている。

さぁ降りろと言わんばかりに後部座席のドアが全開している。

「え? ここどこですか?」

Aさんがそう運転手に聞くと、

「お客さんが途中で、『やっぱり行き先代えるから指示通りに走って』って言うからここに来たんですよ」

と、苛立ったように返されてしまった。

だが、Aさんにそんな記憶はない。

持っているスマートフォンの地図アプリで確認すると、そこは南部片富士湖近くにある松園墓地横だった。

ここで運転手と口論をしても良いが、それよりも早く帰って食事や睡眠を取りたいのが本音だ。

「いや、ごめん。寝ぼけていたみたいだ。もう一度、お願いできる?」

と言って、Aさんは今度こそ宿泊先のビジネスホテルに着いたそうだ。

翌日。

Aさんは、昨日の商談の続きということで、最後に訪れた商談先に来ていた。

そこで、Aさんは営業トークのつもりで、面白おかしく昨晩のタクシーで体験した話を話したそうだ。

すると、相手の担当者の表情が一気に曇った。

(何か不味いことを言ったのか?)

と心配するAさんに、その担当者が言ったのは、取引先の課長さんが一ヶ月前に亡くなったこと。そして、埋葬先が松園墓地だった。

「まだ、その課長さん、あの取引先のオフィスで働いているんじゃないかな」

とAさんは言うが、次の出張は絶対に断るつもりだそうだ。

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