トイレの個室(岩手県花巻市) | コワイハナシ47

トイレの個室(岩手県花巻市)

実話怪談というと、このくらいの長さのものが多いかもしれない。

岩手県内のF大学二年生のSさんが聞かせてくれた話だ。

自宅、学校、バイト先と行き来する生活が続いていた、ある日の夕方のこと。

バイト先から自宅へ帰る途中、歩いていたSさんを突然の腹痛が襲った。

トイレに行きたいが、自宅まではまだ距離がある。

慌てるSさんの目に、公民館が映った。

(助かった!)

そう思うと、自然と歩く速度も上がる。

受付でトイレを借りたい旨を伝えると、二階のトイレを使うように言われた。

受付係が指差す方向を見ると、階段がある。

お礼を言うと、階段を上がり、正面にあったトイレに駆け込んだ。

窓から夕日が差し込む中、個室が三つ並んでいた。

他には誰もいない。

Sさんは、真ん中の個室に入った。

理由はない、ただなんとなくだ。

用を足し終え、衣服を整えて、鞄を手に持つ。

個室のドアを開け、一歩、外に出た。

その瞬間。真後ろで、『カチャッ……』と、鍵を閉める音がした。

Sさんは、受付係に挨拶することもなく、その場から走って逃げたそうだ。

シェアする

フォローする