ミート・ザ・ペアレンツ(九州地方) | コワイハナシ47

ミート・ザ・ペアレンツ(九州地方)

「結婚が決まって、嫁の実家に挨拶をしに行ったんですよ。嫁の実家は九州なんで、まあお父さんがお酒強いんですよ。凄い量を飲むんです。で『まあ飲め飲め』って言われて、僕も『御相伴に預かります』って」

その場には嫁の両親だけではなく、親戚も何人か来ていた。そして男は全員、酒に強い。一人焼酎三リットルはいったという。

「僕も結構お酒強い方なんですけど、だんだんあれ?付いて行かれへんぞってなってきて。うわーきっついなあと思いながらも、何とか誤魔化しながら飲んでました」

やがて時刻も十二時を過ぎ、お父さんが「そろそろ寝るか」と言った時はほっとしたという。

その夜泊まる部屋に行くと既に畳の上に布団が敷いてあった。沖村さんはふらふらになりつつも寝る準備をして布団に入った。

深夜二時頃、喉が渇いて目が覚めた。

お茶を貰おうとキッチンに行き、冷蔵庫を開けたところで、誰かに見られているような強烈な視線を感じた。それは鳥肌が立つほどのものだ。

周囲を見回す。そしてリビングにあるソファーを見て思わず小さな声を上げてしまった。赤い着物姿の十四、五歳の女の子がそこに座ってこちらをじっと見ていたのだ。

だがすぐにそれが人間ではなく、大きな市松人形であることに気が付いた。実によく出来た、人間ほどの大きさの人形である。

「何ちゅうもん置いてあんねん!?って思いまして。朝になったら言ってやろうと思って、お茶飲んで寝たんですよ」

翌朝、沖村さんは彼女に言った。

「お前んとこ、なんでソファーにあんなデッかい人形座らせてんねん」

そう言ってリビングのソファーを見ると、そんな人形などどこにもない。

家族の人に聞いても心当たりのある人は誰もいなかった。

帰る際、彼女がぽつりと言った。

「人形は見たことないけど、私の実家って昔から変なことがいろいろと起こっててね。誰もいないのに二階から足音がするとか。お母さん、そういうの感じるタイプやから、たまに言うてるわ」

築四十年ほどの家であり、今でもご両親はそこに住んでいる。

シェアする

フォローする