怖がる理由(兵庫県尼崎市) | コワイハナシ47

怖がる理由(兵庫県尼崎市)

「僕、一応公務員なんですけどね、仕事終わるの遅いんですよ、毎日。大体もう夜十時は過ぎるんですわ。早く帰ってビールを飲みたいんですけどね。で、その時もね、帰ったんはもう十時過ぎてましたねえ]

帰宅するとすぐに、岩松さんはまだ起きていた幼い息子をベッドに寝かせた。

布団をかけ、「おやすみ」を言って部屋を出ようとすると、息子が消え入るような小さな声で言った。

「パパ、怖い」

見ると布団をずり上げ目だけを出して怯えている。

「どうしたん?」

「そこ。人の足……」

「え?」

震える手で息子が指し示したのは、若松さんが立っている部屋の扉のすぐ横だ。

何もない。

「足がどうしたん?」

「壁からいっぱい足が出てる……」

岩松さんは息子を見ながら不思議に思った。

「普段はそんなことを言う子じゃないんですけどね。仕方ないんで、壁に掛けてあった息子の上着を取って、足が出てるっていう壁の辺りに投げたんですよ]

パサリと上着が床に広がる。

「これで消えた?」

彼がそう言った瞬間、上着がモソモソと蠢いた。それはまるで上着の下にある数本の脚が動いているかのようだった。

「ぎょっとしましてね。気持ち悪いんで、その夜は息子と一緒に別の部屋で寝ることにしたんですけど。買ったばっかりの家ですよ、新築で。もう何やねんて、そんな感じですわ」

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