配達される新聞(大阪市) | コワイハナシ47

配達される新聞(大阪市)

Hさんが大阪の日本橋に引っ越した。

引っ越した翌朝、ポストに朝刊が届けられていた。

A新聞。

頼んだ覚えはないが、(さすが大阪の新聞屋。目ざといな)と思った。そもそも勝手に入れてあるわけだから、月末の集金に来ても払わないつもりだったらしい。

ところが、集金には誰も来ないのだ。三カ月ほどこれが続くとさすがに不審に思って新聞屋に電話をしてみた。すると新聞屋は「配達してませんよ」と言う。購読者カードに載っていない人の家に届けるはずはないというのだ。「ひょっとしたら配達の子が間違えているかもしれないので、よく言っておきます」と言って電話は切れた。ところがやはり新聞は配達される。

たまに配達されない日がある。ホッとすると新聞休刊日だった。それほど、Hさんは気持ち悪がっていた。

翌年、仕事の関係でHさんは泉佐野市に移った。

引っ越した翌朝、ポストに朝刊が届けられていた。

やはりA新聞。

気になってその日のうちに「お宅の新聞は取らないから配達しないでくれ」と新聞屋に電話をした。ところがやはり毎朝、A新聞の朝刊が配達される。新聞屋は配達した覚えはないというし、誰も集金に来ない。三年間、ずっとこれが続いた。

折り込み広告もちゃんと入っている普通の朝刊。夕刊はない。

転勤になって金沢へ行くことになった。

引っ越した翌朝、ポストに朝刊が届けられていた。

新聞屋は知らないというし、やはり集金に来ない。

都合五年間、まったく新聞代を払ったことがなかったという。

友人が遊びに来た時、その話をすると、じゃあ誰が配達しているのか、外から見てみようということになった。

朝五時に起きて、ふたりで表に出て玄関を見る。誰も来ない。

途中、自動販売機でタバコを買った。それは時間にして一分もなかったはずで、ポストから目を離したのはその時だけ。もちろん人が来れば目を離していてもわかる場所。七時を過ぎても新聞配達は来なかった。

「見張ってたら来なかったな」と、玄関に入ろうとしてふとポストを見てギョッとした。

ポストの奥に、A新聞が押し込んであったのだ。

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