【長編】カメの甲羅(広島県) | コワイハナシ47

【長編】カメの甲羅(広島県)

海の神様の使い

昔から、「ツルは千年、カメは万年」とよく言いますが、実際、とても長生きするらしいです。だからでしょうか、カメは縁起のいい生き物として、世界中の人々に愛されている。古事記などにも、中国では仙人の乗り物として、よく登場します。

日本でも、海ガメの甲羅を利用した鼈べっ甲こう細工や髪飾りなどが、縁起のいい物として、古くから殿さまや大商人などに重宝されてきました。

旅館などに行くと、いまでも、大きな海ガメの剥製を見かけますよね。あれも、縁起をかついだ物の一種なんでしょうねぇ。

しかし、最近はそうもいかない。

海ガメの個体数が減っているんです。

ワシントン条約でも、とうとう鼈甲の輸出入が禁止されてしまいました。

カメと言えば、こんな話がありました。

何年か前に新聞の片隅に載っていたんですがね。

日本人の船長と、フィリピン人の船員が三人、小さなゴムボートで南太平洋を漂流していたんだそうです。

乗っていた漁船が、一週間前に沈没してしまったんです。

食べ物も底をつき、頼みの綱の雨も、ここ二、三日間、まったく降っていない。太陽はガンガンと照りつけるし、船員たちの肌はジリジリと焦がされていく。喉もカラカラ、意識も朦もう朧ろうとしてきた……。

(もうダメか。このまま死ぬのか)

誰もがそう思い始めていた、その時です。

背の高いフィリピン人が、狂ったように叫びながら、遠くのほうを指差したんです。

見ると、一匹の大きな海ガメが泳いでいる。

パシャ……、パシャ……

と、水面を叩きながら、ゆっくりと、こちらに向かって泳いでくる。

ほかの船員ふたりも、一緒になって狂ったように手を叩きます。なにかを早口にしゃべりながら、抱き合ったりしている。

日本人の船長は、当然すぐに、その海ガメを捕まえるように命令したそうです。

捕まえて、喰うつもりだったんでしょう。

ここ一週間、ほとんどなにも口に入れていない。こうなれば、なんでも喰わなきゃ死んでしまう。

現に、死はもう直前までやってきている。

船長には息子がいたそうです。

(死ぬ前に、息子にもう一度会いたい)

親だったら、誰でもそう思うでしょ。そのために、カメを喰って飢えをしのぎ、その生き血を飲んで喉の渇きをいやし、命をつなぐ必要があったのです。

「捕まえろ。は、早く、捕まえろ!」

船長はよだれをたらして、夢中になって叫んだそうです。

しかし、船員たちは言葉がわからないのか、わからないふりをしているのか、キョトンとして動かない。

「どうした?なぜ動かない?」

船長はイライラして言いました。

持っていた、長さ一五センチほどの万能ナイフを抜き、ギラギラ光る刃を斜めにかまえ、怒鳴りながらジェスチャーしたそうです。

「カメを捕まえろ!捕まえなきゃ、貴様ら全員皆殺しにするぞ!」

そう脅しながらね。

三人のフィリピン人たちは、しぶしぶとゴムボートを漕いで、海ガメに横づけしたそうです。

背の高いフィリピン人が、まず、ザブンと海に飛び込んで、カメを大事そうに抱え込む。三人は協力して、海ガメをゴムボートの中へ引っ張り上げたそうです。

カメは、

「ギュ、ギュ……、プッシューッ……、ギィー、ギギッ……」

と、奇妙な鳴き声ともつかない声を発しました。

(なにをする)

そう言っているようにも見えました。

船長はしゃがみ込むと、体長八〇センチほどもある海ガメの喉元に、ナイフを突きつけます。

と、それを見た、ひとりのフィリピン人がカタコトの日本語で、

「ヤメロ!」

と叫んだそうです。

「カメは幸福を運ぶ海の神様の使い。殺してはダメだ」

「使いだと?」

船長には、彼がなにを言っているのかわからなった。

「この非常事態に、なに考えてんだ、え?」

船長は顔を真っ赤にして怒鳴りはじめました。

「このままでは、いずれ死ぬ。生きて帰りたいなら、このカメを喰え!」

そう叫び、その船員を突き飛ばしたそうです。

険悪な空気が流れました。

一秒、二秒、三秒……。

そして、つぎの瞬間、信じられない出来事が起こったんです。

あの背の高いフィリピン人が、さっと海ガメを両手に抱えて、ふたたび海へザブンと、飛び込んだんです!

「あ、ああ―――っ!」

船長は一瞬、あっけにとらわれました。

なにが起こったのかわからない。

「ば、ばばばば、ばかやろー!」

大慌てで、船員とカメをボートに引っ張り上げようとする。

が、フィリピン人とカメは、そのままゆっくりと潮に流されて、消えてしまったんだそうです。

「くそっ。なにやってんだ!」

日本人の船長は目を吊り上げながら、ナイフを振り回しました。

「あのカメを喰えば、何日か、もったんだ。本当に死んでしまうぞ。おれが死んだら、みんなおまえらのせいだぞ!」

そう言って、ギラギラと光るナイフを、今度はフィリピン人の喉元に押しつける。

すると、ひとりの船員がフィリピン語で、小さくこうつぶやいたそうです。

「おまえが死んだら……?その時は船長、まずはおまえを殺して喰ってやる。カメを喰うぐらいなら、おまえの肉を喰らったほうがましだ!」

もうひとりも頷きました。

二対一では勝ち目はない。船長は座り込んでしまったそうです。

それから数時間後、ゴムボートは偶然近くを通りかかった漁船に発見され、無事救出されました。

カメと一緒に飛び込んだ男は、それよりもずっと早くに客船に発見され、乗り合わせていた医師や看護婦から、手厚い看護をうけたそうです。さらに、暖かい食事を与えられ、たまたま乗り合わせていたアメリカ人の新聞記者からインタビューを受けました。

この話がちょっとした評判になっています。

僕が見た記事は、それだったんですね。

三人のフィリピン人は、このようなことがあってから、船員をやめて陸に上がり、いまではマニラ市内で大きなレストランを経営しているそうです。

一方、その時の日本人船長は、いまどこでなにをしているのか、生きているのかさえ、誰も知らないんだそうです。

カメの解剖(広島県)

僕が小学生の高学年の頃の話です。

ちょうどその頃、近所の公園に、大きな池がありました。とにかくコケとか藻がいっぱい生えていて、汚い池でした。池の上を、ブンブンと小こ蠅ばえが飛んでいる。

でも、そういったところに、魚ってやつはけっこう棲みつくらしい。

その池にも、たくさんのフナやクチボソが棲みついていて、みなで手製の釣竿をかついで、よくそこで釣りをして遊んだんもんです。本当はいけないんですけどね……。

その池には、幻の魚「ベニタナゴ」も棲んでいました。

鱗うろこがキラキラと虹色に光って、とてもきれいなんです。淡水に棲む熱帯魚、そんな感じだった。

当然フナやコイが釣れるより、そのベニタナゴが釣れたほうが、僕たちにしてみれば嬉しいわけでしょ。

でも、そのベニタナゴってやつが、厄介なことに、やたらと口が小さいんですよ。

本当に小さいんです。小指の先ほどしかない。

なかなか釣り針を呑んでくれないわけで、ベニタナゴを釣ったら、それだけでけっこう自慢になったもんです。だから、〝幻の魚〟なんです。

それから、池にはカメもいました。

イシガメや、縁日などでよく見かけるゼニガメです。

体長は、せいぜい一〇センチか二〇センチ。甲羅が平べったくて、動きものろい。

カメが釣れると、体が重いせいか、浮きがグーッと一直線に沈んでいく。

グ――ッとです。

そのため、すぐに、

「あ、カメだ……」

とわかる。そんな時は、

「チッ、またかよ」

と悔しがる。

せっかく買った高価な釣り針を、全部、胃の中にパクリと呑み込んでしまうんですね、カメは。

そうなると、もう取れない。結局、あきらめるしかない。

小遣いの少ない子供にとっては、釣り針ってのは、けっこう高価な代物なんです。

だから、カメが釣れても、あまり嬉しくない。

その日、僕はたまたま運が悪かった。

学校帰りに、やたらと図体のでかい近所のガキ大将に捕まって、ふたりで釣りに行くことになったんです。例の池にですよ。

荷物は全部、俺が持ちました。カバンからなにまでね。

逆らえるわけもなく、小間使いのように働かされました。

逆らって、殴られるのはごめんだし、もともと僕は子供の頃から平和主義者なんです。

ガキ大将はコツコツ貯めた小遣いをはたいて、やっと買った高価な釣り針で、ベニタナゴを釣ろうと張り切っていました。

で、日が暮れるまで、ずっと釣りを続けてた。

でも、どうしたわけか、この日はいっこうに釣れる気配がないんですね。

いやーな空気が、流れはじめましたよ。

「今日は全然だな」

ガキ大将もイライラして、地面の石を蹴ったりしている。

ポチャン!

水が揺れて、石が沈んでいく。

「今日はやめとくか」

「そ、そうだね」

僕もそう思いはじめていました。

と、その時です。

「きた!」

ふいに、ガキ大将が叫んだんです。

だが、つぎの瞬間、その声は落胆のため息に変わりました。

浮きが、グーッと沈んでいくんですよ。

「カメだ」

案の定、釣れたのはカメでした。

しかも、せっかく買ったガキ大将の高価な釣り針を、胃の中にパクリと呑み込んでいる。

(これは、ただじゃすまないな)

瞬間、僕はそう思いましたね。

「クソッ。ほんと、むかつくな、カメって」

ガキ大将はカメをつまみ上げると、どうにか、針を取ろうと悪戦苦闘している。左右に揺らして、地面に叩きつける。

カメは手足を引っ込めて、クルクルと回っていきます。

しばらくして、ムクッと起き上がり、池に向かって、

ズズズッ、ズズズッ……

と動き出す。

もう少しで池……、と言うところで、ふたたびガキ大将が靴で、少しだけカメを踏みつける。

カメは必死に手足を動かして、どうにか逃げようとする。首をちぎれるぐらいに伸ばしていました。池のほうに、ね。

(池まで行けば助かる)

そう思っていたんでしょう。

「なあ」

「なに?」

「カメの甲羅の中ってさ、どうなってるのか知ってるか?」

「な、なに言いだすんだよ、急に」

「知ってんのかどうか聞いてんだろ」

「さ、さあ、わかんないな……」

「だったら、見てみようぜ。この甲羅、割って見てみようぜ」

僕は一瞬、耳を疑いました。

さらに、ガキ大将がニヤリと笑うのを見て、背筋がゾクリと凍りついたんです。

(こいつはヤバイ!)

そう思いましたね。

「よし、はがすぞ」

ガキ大将は道具箱を開けて、ドライバーを取り出しました。

カメの首に、いきなり、ブス、ブスッ、と差し込んだんです。

ドライバーが根元まで、ゆっくりと肉の中に入っていきます。血が、ダラダラと落ちてきました。

そのまま、ちょうどテコの原理で、今度はグイグイと上に引っ張り上げる。今度はひっくり返して腹に……。裂けた肉のあいだから、黄土色のはらわたがこぼれ落ちる。

ポタッ、ポタッ……、ジュワ――ッ

緑がかった、半透明な体液が、一緒になってあふれ出てくる。ガキ大将の手を、ベトベトにぬらしていきます。

「うあっ、きたねえな」

水の腐ったような臭いがあたりに立ち込めてきましたが、それでもガキ大将はおかまいなしに、笑いながら、今度は一本の棒を拾いあげ、お尻から差し込みはじめる。

グチャ……、チャ……、グニュ……

内臓をかき回すと、カメは口からボゴリッ、と泡を吐き出しました。

「ブクブク」

血を吐き出しながら、苦しそうにもがきはじめます。

ビュッ、ビュッ……、ビュビュ――!

時折、ネバーッとした茶色の粘液が、尾っぽのあたりから飛び出してくる。

そのたびに、カメは甲羅を震わせて、

「ギギィ……、ギイイィ……」

と、悲鳴ともうめき声ともつかない音を出すんです。

(助けてくれ。助けてくれ。もう気がすんだろ、やめてくれえ)

そう言っているようにも思えました。

俺は見ていられなくなって、耳をふさぎ、下を向きました。

すると、

「おい、おまえも手伝えよ!」

「え?おれも?」

「あたりまえだろ。そっち側に立って押さえつけてろ!」

「や、やだよ」

「なんだと!」

ガキ大将はこぶしを握り締めました。

「殴られたいのか?」

「わ、わかったよ」

僕はいやいや、地面に膝をつき、カメの甲羅を押さえたんです。

すでに、甲羅はグラグラでした。半分取れかかっている。

カメの血が、ゆっくりと手を赤く染めていきます。生ぐさい、腐ったような臭い。その匂いときたら、もう思い出しただけで、昨日食べたものが胃からこみ上げてくるほどです。

(ごめん……、ごめんよ、本当にごめん……)

僕は心の中で、何度もカメに謝りました。

その時、

クワ―――ッ

と、カメが一瞬、飛び出すぐらいに目を見開きました、

それから、コクリと頷いたんです。

たしかに、二度、

コクッ、コクッ

とね。その瞬間、

バキーン!

と音がして、カメの甲羅ははずれてしまったんです。

甲羅の下は、腸やら心臓やらの塊でいっぱいでした。ブヨブヨと、まだ動いているものもある。

僕はたまらず吐いてしまいました。

「ゴボッ!グエッ!ゲロゲロゲーッ!グバ―――ッ……」

あとで聞いた話ですが、カメの甲羅ってのは、人間でいう背骨なんですってね。背骨が進化して、外敵から身を守るための硬い甲羅になった。

人間だって、ムリヤリ背骨をほじくり返されたら、どうなります?

死んでしまうでしょう?それと一緒ですよ。

「つまんね」

ガキ大将はカメを蹴飛ばして、つばを吐きかけた。

池の水で手を洗うと、

「帰ろうぜ」

と言って、きびすを返す。

「う、うん」

でも、カメをそのまま残して帰ることはできません。

僕はカメを拾い上げて、池に浮かせてあげたのです。

そーっと、静かに。ゆっくりと。お葬式のつもりでした。

せめてもの罪滅ぼしのつもりだったのか知れません。

ゆらゆらと揺れて、カメは池の底のほうに消えてしまったんです。

それから二〇年以上がたったある日、地元の自治会の集まりで、僕はたまたま、そのガキ大将に出会ったんです。

ふたりとも、もう三〇代なかば。いいおじさんになっていましてね。

ガキ大将は中小企業に勤めるサラリーマンになっていました。もともと、背が高いほうだったんで、紺のスーツがビシッと決まって、それは格好よかったですよ。でも、どこか様子がおかしい。変に暗いんです。

よく見ると、頬がやつれて、目の下にもくまができている。

「だいぶお疲れのようだな」

僕はガキ大将の隣に座って、空のグラスにビールをついでやりました。

「あぁ、金造か」

すると、ガキ大将が力なく頷く。

「どうしたんだ。顔色が悪いぞ。家に帰って寝たほうが……」

「うん……」

すると、ガキ大将は急に頭をかかえ、

「なあ、金造。助けてくれよ」

と、泣き出したんです。

(これは、おかしい)

とっさに、僕はそう思いましたね。

それで、すべてを話すように彼に言ってやったんです。

彼は少しずつ話しはじめました。

ことのはじまりは、一匹のカメでした。

一年ほど前、仕事から帰ってくると、一〇歳になる息子が走り寄ってきたそうです。そして、

「見て見て、お父さん。デパートの屋上でお母さんに買ってもらったんだ」

と、小さな手のひらを差し出す。

見ると、一匹のミドリガメがチョコンと乗っている。恥ずかしそうに、顔を出したり引っ込めたりしていたそうです。

「おお、カメか」

彼はネクタイを緩めながら、そう答えたそうです。

「お父さんは、カメってなに食べるか知ってる?」

「食べ物か?」

彼はうーんとうなって、腕を組んだ。

すると、息子は、

「お父さんはなにも知らないんだな。カメは死んだ魚を食べるんだよ」

と言いました。

一見おとなしそうに見えるカメですが、たしかにメダカやフナなど、死んだ小魚の腐肉を食べたりもする。

「ブウ――」

と水面に浮き上がってきて、魚のはらわたなんかにパクッと喰らいつく。そして、そのままゆっくりと沈んでいく。

彼もその時は、

「デパートの売店の人に教えてもらったんだろ」

ぐらいにか考えなかったそうですよ。

しかし、その頃から、徐々に息子の様子が変わってきたんです。豹変、とでも言うんですかね、カメに異常なほどの執着を示すようになったんです。

朝から晩まで部屋に引きこもり、「カメの世話ができないから」「カメが寂しがるから」と、学校にも行かなくなる。

会話といえば、

「母さん、キンギョ買ってきて、キンギョ!キンギョ!」

そして、またすぐに、

「カメが腹をすかせているじゃないか!ねえ、キンギョのはらわたいっぱい買ってきて!」

当然、親は心配しますよね。

いろいろ病院にも連れてったそうですが、ダメだったらしいんです。

カメを捨てようとも思ったそうですが、息子は寝る時でも、いつもカメと一緒にいる。だから、それもできない。

さらに、ゾッとするような出来事が起こりました。

彼の家のリビングには、大きな熱帯魚の水槽があったそうなんです。

でも、ある日、全部いなくなっていた。

エサにされちゃったんですよ。カメのです。

息子は素手で熱帯魚を捕まえて、床に叩きつけて殺し、それをエサとしてカメに与えていたというんです。

それから数ヵ月後、息子は急に背中が痛いと泣き出したんです。

真夜中に、

「痛い、痛いよ―!」

と絶叫するんです。

それで、奥さんと一緒に息子のパジャマを脱がせてみると、どうしたわけか、背中がボコッと膨れている。紫色に変色している。

息子は、救急車に運ばれて、すぐに都内の大学病院に担ぎ込まれた。精密検査にかけられたそうです。

で、最新医療のX線検査でようやくわかったことは、徐々に背骨がS字に曲がってしまう病気だ、ということでした。

不幸にも、原因はよくわからないんだそうです。

そのあと、彼がどうしてもって頼むもんだから、彼の息子のお見舞いに行くことにしたんですよ。

その頃から、たしかに霊感みたいなものはありましたからね。

当時住んでいた場所から、それほど遠く離れていない大学病院だったんです。

その子は、鼻と口にチューブのようなものを入れられて、それは苦しそうでした。

「シュー……、シュー……。グッ、グギィ!プッ……、シュー……シュ―――ッ」

そして、僕を見たとたん、

クワ―――ッ

と、飛び出すぐらいに両目を開いて、僕にこう言ったんです。

「ねえ、おじさん。カメの甲羅の中ってどうなってるの?どうなってるの?」

「知らないよ」

と言っても、しつこく聞いてくる。

「どうなってるの?」

ってね。

その目が、少し笑ったように見えました。

(忘れたの?ボク、覚えてるよ)

その時、ハッと思い出したんですよ。

間違いありませんよ。

あれは、カメの呪いです。ガキ大将だった彼は気づいていませんがね。

カメの呪いは、彼がこの世で一番大切にしているものに降りかかったんですね。

本当に恐ろしい話ですよ。

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