お祓いは効かない(大阪府) | コワイハナシ47

お祓いは効かない(大阪府)

Aさんは昔、古着屋で働いていた。

大阪のアメリカ村のお店で、わりとアメリカ軍の還給品などが入ってくる。つまりアメリカの陸軍や海兵隊などの迷彩服を扱っているわけだ。

Aさんはこの時、店長からこれらの軍服は丹念にクリーニングするようにと教育されていたという。これらには血が付着していることがあるので、特にこの血けつ痕こんは跡形もなく消すようにと。

ある夜、Aさんは居残って伝票整理をしていた。すると、誰もいないはずの二階から、ゴトゴトと商品の荷分けをする音が聞こえる。そういえば今日、新しくアメリカ軍の迷彩服が大量に届いて、それがそのまま二階に置いてある。きっと、店長が残って梱包を解いて仕分けでもはじめたのだろうと思った。と、その荷分けの音がやんで、トン、トン、トンと、背後にある階段を下りてくる。そしてそれが真後ろに来て、肩越しにAさんの手元を見ているのがわかる。

(これは店長じゃない、何か違う)と、Aさんは後ろを振り返ることができなかった。そして、ふっと気配が離れるとまたトン、トン、トンと階段を上がっていく。

やっぱり店長なんだろうか、そう思ってAさんは振り返った。

迷彩服にヘルメットをかぶったアメリカ兵らしき後ろ姿が、階段の奥に消えようとしているところだった。そしてその姿が闇にかき消えた。

翌朝、店長に報告した。すると「そういうことは実は前から何度かあったんや。軍の還給品は、その持ち主が怪我をするとか訓練中に命を落としたという物が多いからな。きっとそれは自分の着ていた軍服を捜してたんやな」と言う。

「だったらお祓いしましょう」とAさんが言うと、お祓いは効かないと店長は言う。

「お祓いは何回もやったんや。でもな、お祓いをしても次の軍の還給品が入荷すると同じことが起こる」。お祓いは効かない。だからせめて、綺麗にクリーニングして、血痕は跡形もなく消すように心がけているのだという。

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