白いひも(東京都) | コワイハナシ47

白いひも(東京都)

都内でひとり暮らしをしているある女性の話。

ある夜、寝ようと床にはいると天井の角に白いひものようなものが垂れ下がっているのが見えた。そのひもの先に棒のようなものが見える。

(……?)

目を凝らすともうそれは消えていた。

気のせいだと思ったが、次の夜にも同じものを見た。

天井付近から垂れ下がる一本の白いひも。その先に棒のようなもの。ちょうどTの字を逆さにしたように見えた。

それが見えたと思うと消える。

次の夜も。

どういうわけか見える場所は毎晩違うが、部屋のどこかの天井に必ず垂れ下がった。

五日くらい経った時、棒のようなものの一方が丸くマッチ棒のようになっているのに気がついた。もう一方はスパッと切り取られたように、斜めに尖とがって見える。

六日目になってようやく形としてわかるようになった。

それは腕のように見えた。先の丸い方は、握った拳。

その腕は異様なほど白く細い。その真ん中あたりから、白いひものようなものが天井へ伸びている。

しかし腕だとしたら、拳の反対側がスパッと斜めに切断されたように見えるのはなぜだろう。

そしてフッと消えた。

七日目、実家から電話があった。親しん戚せきのおばさんが危篤だという。

すぐに病院に駆けつけたが、わずかの差で間に合わなかった。

居合わせていた家族が、「おばさん、さっき亡くなったよ」と言う。

ベッドに近づいて驚いた。

おばさんの細い腕だけがシーツから斜めに出ている。その腕から点滴の管が上に伸びている。

毎晩見ていたものと重なった。

(おばさんの腕だったんだ)

おばさんが亡くなったその日から、白い腕を見ることはなくなった。

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