お化け屋敷の本物(千葉県) | コワイハナシ47

お化け屋敷の本物(千葉県)

枝原君と竹沢君の話である。

人の集まるところには奇怪な現象がよく起こる。例えば空港、都会の雑踏に聳え立つビル、古くからの公園、そして遊園地。華やかなアミューズメント・テーマパークである東京ディズニーランドにもそういった奇怪な現象を起こす「もの」が棲み付いているようだ。

そして、そういった場所で何度も奇怪な現象に出くわすと、見えなくてもいいものが見えてしまうという能力が身に付いてしまう。

枝原君と竹沢君は、何人かの年齢の近い親しい友人達とともに元旦を東京ディズニーランドで過ごした。幾つかのテーマ・パビリオンを楽しんだ枝原君達は、TDLの誇るお化け屋敷「ホーンテッド・マンション」に入った。

大学受験を控えた枝原君を始め友人達は皆二十歳前後に達しており、さすがに「お化け屋敷が怖い」という歳でもない。

数々の不可解な体験談を持つ枝原君に至っては「作りモノが怖いことあるかい!」とばかりに、意気揚々とホーンテッド・マンションに挑んだ。

真っ暗な順路のあちこちに作り物の幽霊が立っている。ぼうっと光るもの、ゆらゆらと動くもの。それらしいBGMに混じって微かな絶叫が聞こえてくる。

「きゃあ!」

「いやあ!」

女の子達が作り物の幽霊に悲鳴を上げる最中、竹沢君は特に仕掛けのされていない物陰やシャンデリアの上などを見つめながら黙って順路を進んだ。

時折、何もない場所でよろめきながら。

「……いるな」

「ああ……いる」

独り言のように呟いた竹沢君の言葉に反応しているのかどうかは知れないが、枝原君も順路の虚空をじっと見つめながら何がしかの数を数えている。

暗く長い順路が途切れ漸く出口が近付いてきたとき、竹沢君は真っ青な顔をして枝原君に訊ねた。

「……おい。いたよな?」

「いたいた。四つくらい見えたね」

「あれはやっぱりそうだよな?」

「うん、間違いないんじゃないかな」

ヒソヒソと話し込む二人に気付いた友人達が枝原君と竹沢君に訊ねた。

「何?何かいたの?」

「いやあ、お化けがちょっと」

「お化け屋敷だもの。お化けがいても不思議はないんじゃない?」

「いや、そーじゃなくてね……混じってたんだよ。作り物の中に『本物』のお化けがさ」

人造のお化け屋敷から太陽の光の下に出たとき、お化け屋敷で気力を使い果たした竹沢君は、力つきその場で腰を抜かしてしまったのである。

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