修学旅行(三重県) | コワイハナシ47

修学旅行(三重県)

今は広告代理店の課長をしているUさんが中学生の頃というから、もう二十数年も昔のことである。

三重県へ修学旅行に行った。

宿泊したのは古い旅館だった。しかも生徒数が多いせいで、Uさんのクラスの男子たちは旧館の部屋をあてがわれた。

何だか湿った暗い室内、歴史のありそうな廊下や天井、壁の色。独特の古く乾燥した木の匂い。あまりいい感じはしない。

それでもわあわあと先生に怒られるほど騒いだ。夜中には疲れも出て、そのうちみんな倒れ込むように眠ってしまった。

その夜中。Uさんは急に目が覚めた。

(トイレ行こ)と廊下に出た。電灯はついているのだが、やはり暗い廊下。やっぱりやめとこうとは思うが尿意には勝てない。仕方なく、薄暗い廊下をミシミシ音を立てながら、男子トイレへと急いだ。

ギー、バタン。ギー、バタン。という音が聞こえる。

(何の音や)

音は、トイレの方からしている。

(誰かいるのかな?)

ところがトイレの電灯は消えていて、中は真っ暗。

音はずっと続いている。

ギー、バタン。ギー、バタン。

電灯のスイッチを入れた。

パッとトイレの全体が目にとびこんだ。もちろん誰もいない。ところが、大便用の三つあるドアのうちの真ん中のドアが、ギー、勝手に開いていく。そして、いっぱいに開ききると急にバタン、と閉まる。しばらくするとまた、ギー、バタン。

Uさん、尿意も忘れてしばらくそれを見ていた。

三十回ほども見た時、心臓が止まるかと思うほど驚いた。

ドアがギーと開くと、トイレの中から女の頭が出てきた。

それも床から三十センチほどの高さで真下を向いた女がゆっくりと水平に。黒い塊のような長い髪が床を引きずっている。

やがて女の肩、腰のあたりまでが出てきた。(白い着物だ)と思うと、すーっと誰かに引っ張られるように中に入って姿を消した。

そして、バタン、ドアが閉まる。

そして再び、ドアがギーと開いた時、我に返ったUさんはそのまま部屋へ戻り、頭から布団を被かぶって震えた。

夜の間中、Uさんはずっとギー、バタン。ギー、バタン。という遠くの音を聞いていた。怖くて朝まで寝られなかったが、夜明けとともに音はしなくなったのだそうだ。

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