鴨居(東京都) | コワイハナシ47

鴨居(東京都)

Sさんという男性は、都内のあるマンションに妹と住んでいた。

妹の部屋とは、一枚の襖で遮られていたという。

ある夜、部屋で寝ていたSさんは、闇の中にハンガーがぷかぷか浮いているのを見る。

(あれ、なんでハンガーがあんなとこにあるんだ?)

不思議に思って電灯をつけると、何もない。しかも、そこはハンガーが引っ掛けられるような場所ではない。

(気のせいか?)

ところがこれがほぼ毎夜続いた。

ある夜、そのハンガーに浴衣が掛かっていた。

ぎくっとする。そんな浴衣などSさんは持っていない。

電灯をつけると、やはり消えている。

以後、夜な夜な現れる、その浴衣がSさんの枕元に近づいてくるのだ。Sさんはそのたびに、部屋のあちこちに布団をずらして寝る。だが、布団をずらしても、ずらしても、ふと見るとその浴衣はSさんのすぐそばにぶらさがっている。ある日Sさんは、妹の部屋との間にある襖のところに布団を敷いた。

また、浴衣が出た。しかしこの日は、浴衣から二本の足がにょきっと生えていた。

明かりをつけると浴衣は消えたが、もう明かりを消すことが出来ない。

翌朝、今までは黙っていたがさすがにSさんは妹にこのことを言った。すると妹が言う。

「私の部屋ね、寝ていると襖のところに真っ黒な御み影かげ石いしが浮いてることがあるのよ。長方形の御影石でね。それがぷかぷか浮いていて、まるで墓石のように見えるんだけど……。お兄ちゃんはだんだん襖の方に追い込まれたんでしょ……」

「この襖のあたりで何があったんだ……?」と、ふたりは顔を見合わせた。

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